観光振興へ2施設認定 北茨城・行方 茨城県が1億円支援

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県は魅力ある観光施設の整備を促す事業の一環で、開業を予定している同県の北茨城市と行方市の計2施設を支援先として初めて認定した。それぞれ約1億円を補助する。県は「観光客を呼び込めるフラッグシップ(旗艦)の施設」と期待。今後も有力な観光施設の誘致に努める。

県が認定したのは、デジタルアート集団「チームラボ」の県内初となる常設展示施設で、北茨城市に2024年8月開業を目指す。レジャー開発などを手がける「高揚」(同県水戸市)が設立した運営会社がチームラボと連携し、水辺空間を生かした光のアート作品を展示。計約110人が宿泊できるグランピングとコテージ、温泉施設を整備する。

もう1件は、行方市で11月から順次開業する体験複合施設「霞ケ浦ふれあいランド」。道の駅周辺に屋内動物園やドッグランを整備し、霞ケ浦湖畔で釣りやキャンプ、サイクリングが楽しめる。事業主はMOFF(同県石岡市)。系列企業が観光牧場「ダチョウ王国」などを運営している。

認定は、県の宿泊施設等立地促進事業の一環。観光や建設、日本貿易振興機構(ジェトロ)などの有識者5人でつくる審査会が「首都圏からの集客や周遊効果が期待できる」と評価、認定した。

県は18年、茨城県の課題とされる「宿泊を伴う観光客の増加」を図ろうと、富裕層向けのホテルや旅館を対象に、最大10億円を補助する事業を新設。19年に土浦市でホテルを開業した星野リゾート(長野県)が認定第1号となり、9759万円を交付した。

21年には対象に観光施設を追加。民間業者の宿泊施設との一体的な開発を後押しする。年間30万人以上の誘客や7億5千万円以上の売り上げが見込める施設に対し、1億円を上限に投資額(土地・建物・設備)の20%相当を補助する。さらに茨城県観光のイメージ向上に資すると認められる場合は、投資額の40%まで枠を拡大し、上限を2億円に増額する。

県内で年間30万人を超える観光施設は、国営ひたち海浜公園(ひたちなか市)や偕楽園(水戸市)、かみね公園(日立市)など約30カ所。県観光物産課は「コロナ禍で落ち込んだ観光客を再び呼び込み、地域経済を活性化させるには施設数がまだまだ足りない」と強調する。

県総合計画では25年度までに年間観光消費額4千万円の達成を掲げる。同課の担当者は「首都圏に近い利便性や茨城県観光の魅力をアピールしていきたい」と話した。

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