青森県内クマ出没、すでに480件 過去5年で最多 人身被害6件7人、食害は前年同期比6倍超

県がホームページで公開しているクマ出没マップ。目撃(青色)、食害(緑色)、人身被害(赤色)の情報が随時更新されている。25日も黒石市で女性2人がクマに襲われた(色を一部調整しています)

 青森県内で今年、クマの被害や目撃が相次いでいる。県がまとめた25日現在のクマ出没件数は480件(足跡の目撃や食害など含む、暫定値)で、うち人身被害は6件7人に及ぶ。いずれも既に2019~22年の年間件数・人数を超え、過去5年で最多に。秋のキノコ採りやレジャーシーズンを迎える中、クマが冬眠に備え餌を求めて活動する時期と重なることから、県は引き続き注意を呼びかけている。

 23年の人身被害6件(前年1件)のうち3件は今月17日以降に発生。25日は黒石市のリンゴ畑で、農作業の休憩中だった女性2人が襲われた。

 クマによる食害は108件で、前年同期の17件(年間総数同じ)を大きく上回る。現時点で被害面積や被害金額はまとまっていないが、弘前市嶽(だけ)地区のブランドトウモロコシ「嶽きみ」畑などで被害が確認されている。

 県は4月、県内全域にクマ出没注意報を出した。餌となるブナの実が昨秋「並作」だったことから、前年より出産が増えてクマが行動範囲を広げる可能性があるためで、11月末まで継続中だ。

 その一方、東北森林管理局が7月に発表した今秋のブナの結実予測は「大凶作」。「ブナの実が少ないと見込まれ、クマが人里に近い場所へ出没することが考えられる」と分析し、警鐘を鳴らしている。

 県自然保護課の辻健一郎総括主幹は「まずクマと出合わないよう注意してほしい。鈴やラジオなど音を出しながら複数人で行動して」と話す。このほか▽入山前に出没情報を確認▽クマが活発になる早朝、夕方を避ける▽生ごみを放置しない-などの対策が必要。県はホームページで対応マニュアルを公開している。

 県内では21年10月、平川市碇ケ関地区で散歩中の男性がクマに襲われ、死亡する人身被害が発生した。

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