EXILE ATSUSHIさんが告白した「ライム病」とは?

 27日、EXILE ATSUSHIさんがファンに向けたトーク配信で、自身が「ライム病」にかかっていると明かし衝撃が広がっている。完治には2、3年かると語り、根治への意欲を示したATSUSHIさんだが、そもそも「ライム病」とはどういう病気なのか、解説する。

マダニを介して感染、予防法はなし

 国立感染症研究所などによると、ライム病は、細菌の一種であるスピロヘータによる感染症。ヨーロッパからアジアまでの温暖な森林地帯、北アメリカの北東部、北中央部、太平洋沿岸地域など世界中で発生しているが、日本では年間数十件の症例で比較的まれな病気といえる。

 感染経路はマダニで、保菌しているマダニに咬まれることにより感染する。ヒトからヒトへは感染しないが、発症するとなかなかにやっかいだ。潜伏期は最大約1ヵ月で、その後マダニに咬まれた部位のまわりに環状の紅斑が広がってくる。同時に筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、全身の倦怠感などがともなうことがある。

 そこから病原体が全身に拡がって進行すると、重度の頭痛や首筋の硬直、咬まれた部位以外の発疹、関節痛、関節の腫れ、筋肉痛、動悸や不整脈、めまい、息切れ、神経痛、手足のしびれや痛み、脳や脊髄の炎症、記憶障害など様々な症状が現れる。さらに数ヵ月から数年を経て重症化すると、関節炎や脊髄脳炎になることもある。

 治療はとにかく早期発見のうえで抗生物質を投与すること。発見・治療が遅れると重症化や、完治しても後遺症が残る可能性が高まるので注意が必要だ。

 予防に関しては、ワクチンがなく、感染経路がマダニと分かっているだけに、とにかく咬まれないようにすることが大切となる。まずは草むら(野山や河川敷など)に入ることをできるだけ避けること。止むを得ず入る場合は、肌の露出を避け、虫よけをしっかりと使うこと。また、ピクニックなど、そういった場所へ好んで向かう場合でも、地面に寝転んだり腰をおろすことは避けたほうがよい。さらにそうした場所へ立ち寄って帰宅する場合は、衣類にダニがついて屋内に入ってきてしまう可能性があるので、帰宅直後に必ず着替えるようにしよう。

 マダニが媒介する病気はライム病だけではなく複数あり、国内で死亡例もある。甘く見ることなく、アウトドアなど自然のなかで楽しむ、過ごす場合は予防の手立てを忘れずに心がけることが大切だ。

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