10月のナマコ漁、青森県内各漁協に見送り要請 県漁連、中国禁輸影響で

県内各漁協に対し、10月のナマコ漁見送りを要請したことを説明する県漁連の二木会長=27日午後、青森市

 県漁連は27日、青森市の県水産ビルで漁協組合長らを集めて会議を開き、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出後、中国が水産物の輸入を停止していることについて、各漁協に10月のナマコ漁を見送るよう要請した。中国向けの輸出が止まったためナマコの買い手が付かない状況に加えて、東電との賠償交渉に向けて、各漁協が足並みをそろえる必要があると判断した。11月以降は状況に応じて判断する。

 中国向けナマコの主産地である陸奥湾では10月以降、各漁協が漁を予定していた。会議は非公開で、県漁連によると27漁協の組合長ら約50人が出席。終了後、二木春美会長が報道陣の取材に応じた。

 二木会長は、中国向けのナマコを取っても買い取る業者はなく、値崩れも予想されると指摘。また、東電との賠償交渉の窓口を県漁連に一本化したい考えで、交渉に当たり、出漁するかどうかなど各漁協の対応をそろえる必要がある-とした。

 二木会長は、漁解禁に向けて準備を進めていた一部漁協から異論が出たため、この日の意見集約は見送ったとも説明。「漁の見送りを要請するのは残念だが、仮に水揚げしても値段がつくか分からない。早く出漁できる環境になってほしい」と述べた。

 陸奥湾のナマコ漁を巡っては、二木氏が組合長を務める横浜町漁協が既に見送りを表明している。

 県水産振興課によると、2022年の県内のナマコ漁獲量は647トン、漁獲金額は24億8410万円。日本貿易振興機構(ジェトロ)青森貿易情報センターによると同年、青森県から中国向けの輸出は22トン(速報値)、輸出額は7億7583万円(同)だった。

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