北朝鮮、米兵を追放 身柄は米管理下に

ソウルの駅で、トラビス・キング米陸軍2等兵について報じるニュース番組=8月(AP=共同)

 【杭州、ワシントン共同】北朝鮮の朝鮮中央通信は27日、南北軍事境界線を越えて韓国から北朝鮮に入ったトラビス・キング米陸軍2等兵の調査が終わり、担当する機関が北朝鮮の法に基づき「追放を決めた」と報じた。北朝鮮は2等兵が北朝鮮か第三国に亡命する意思を表明していると説明してきた。米政府は、2等兵が中国に移送された後に身柄が米側の管理下に入り、米軍基地に向かって移動していると発表した。

 北朝鮮は米欧などからの人権を理由にした非難に反発しており、2等兵の行動の自由を制約しているとの批判を抑え込みたい狙いもあるとみられる。2等兵の帰国を求めてきた米国との対話を模索しているかどうかは不透明だ。

 米政府によると、2等兵の健康状態は良好。身柄の引き渡しには北朝鮮との国交がない米国などの利益代表を務めるスウェーデンや国連が関わった。米政府は中国も協力したとして謝意を表明した。今月初めごろ、北朝鮮が2等兵を解放したがっているとの情報がスウェーデンを通じてもたらされていた。

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