本館改修先行も選択肢 高岡テクノドーム

  ●知事「別館は現状分析を」

 富山県の新田八朗知事は27日、県が高岡市で計画する高岡テクノドーム別館に関し、現在使用されている本館の改修を、別館の整備より先行させることも選択肢の一つとの認識を示した。開館から32年が経過しており、新田知事は「大規模な修繕が必要な時期を迎えているのは確かだ」と説明した。一方で別館の整備は「現状をよく分析した上で議論する必要がある」と述べ、関係者の意見を聞いて方針を判断するとした。

 県議会予算特別委員会で、米原蕃氏(自民)が本館のリニューアルを先行させることを提案したのに対して答えた。北陸新幹線敦賀開業に合わせ、2025年3月の開館を目指していた高岡テクノ別館の計画は、大幅に方向転換する可能性も出てきた。

 米原氏は、ロシアのウクライナ侵攻や資材価格の高騰に触れ「これだけ世の中が大きく変われば、トップとしてしっかり受け止めて検討するのは当たり前」と強調。その上で「この機会に見直して、現在の建物を利活用できないか」と改修を提案した。

 新田知事は、本館が開館以降、大型スクリーンの設置や音響設備の改良など、随時必要な設備を導入し、老朽化も進んでいることを説明した。一方で「床面がコンクリートで音の反響が大きく、ライブやコンサートの開催には課題がある」とも指摘した。

 市場では建設コストが高止まりし、当面同様の状況が続くと見込まれる。新田知事は、県庁内で本館を含めて高岡テクノの利活用方策の検討を進めているとし「今後関係県議や県西部6市、地元経済界の意見を聞き、これまで以上に地域のにぎわいにつながるか考えて方針を定めたい」と述べた。

 高岡テクノ別館を巡っては、建設工事費が資材価格高騰の影響で当初想定の26億5千万円から46億3千万円に上振れする見通しとなった。さらに、5月に展示棟の建築工事の入札が不調に終わり、県は6月、設計も含めて一度立ち止まり、再度検討する方針を打ち出した。新田知事は今月25日の県議会予算特別委員会では、基本計画の見直しも含めて検討する考えを示している。

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