「酒粕シロップ」いかが 富山の飲食会社、氷見の酒蔵開発 飲み物や料理に、食品ロスを削減

酒粕シロップと、シロップを使ったドリンクを紹介する布村代表(右)と髙澤社長=氷見市北大町

 飲食店経営Human Being(ヒューマンビーイング、富山市)と、氷見市唯一の酒蔵である髙澤酒造場は、酒粕を材料にしたシロップを開発した。酒粕の独特の風味が楽しめ、ドリンクや料理、スイーツに活用を提案する。酒粕は日本酒の醸造過程で大量に発生するものの、消費し切れないのが実情。有効活用することで食品ロス削減につなげる。

 「SAKEKASU syrup(サケカス シロップ」と名付けた。

 酒粕は髙澤酒造場の純米吟醸酒の製造で出るものを使用。アルコール分を抜いた酒粕に、まろやかな酸味が特徴の熊本県天草地区産のレモンと、砂糖の一種である甜菜(てんさい)糖を加え、すっきりする中に優しいコクを出した。

 髙澤酒造場では昨年約9トンの酒粕が発生した。1.5トン程度は飲食店などに販売したが、大半は家畜の飼料として無償で引き取ってもらっていた。ヒューマンビーイングの布村充司代表と髙澤酒造場の髙澤龍一社長は3年以上前から酒粕の有効活用を研究し、ようやく製品化にこぎつけた。

 ドリンクはヨーグルトと混ぜたシロップをベースにして、ソーダ水やジン、日本酒で割る飲み方を勧める。すだちを搾(しぼ)って入れるのがミソだ。ヒューマンビーイングが経営する居酒屋や、都内の飲食店で提供したところ、さっぱりした味わいが好評を得た。シャーベッドやドレッシングに活用した店もあるという。

 布村代表は富山県内にある他の酒蔵の酒粕も試したが、髙澤酒造場は「槽搾(ふねしぼ)り」と呼ばれる伝統的な酒搾りを続けており、繊細でしっとりした味が適して一番気に入った味に仕上がった。

 布村代表と髙澤社長は「酒粕は栄養も豊富。日本酒のおもしろさ、可能性を伝えたい」と話している。

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