日医工、7割の品目で出荷増 上場廃止から29日で半年

 ジェネリック医薬品(後発薬)大手の日医工(富山市総曲輪、岩本紳吾社長)が東証プライム市場から上場廃止となり、29日で半年を迎える。不適切製造を機に経営が悪化した同社は、販売品目の絞り込みや子会社の売却などの合理化を進める。7割超の品目で出荷量が増加している一方、出荷停止状態の品目も1割近く残る。全国では後発薬の供給不足が続いており、安定供給の回復が待たれる。

 日医工は2010年に東証1部上場。主力工場での品質不正や米子会社の不振で業績が悪化し、22年12月に私的整理の一種「事業再生ADR」が成立、23年3月29日に上場を廃止した。

 技術面や採算面で製造を続けることが難しい品目の削減を進め、7月に258品目の販売中止を決定した。9月21日時点で、今後も販売を継続する品目数は892品目となった。

 このうち73%に当たる652品目は「出荷量増加」(前年度の月平均出荷量などと比較して110%以上)の状態だ。担当者は「品目数を減らしたことで選択と集中が図られ、特に必要とされる製品の増産ができている」とし、供給体制が改善されてきたとの見方を示した。

 ただ、製造工程の記載事項の整備に関する手続きの遅れや、製造委託先からの入荷の遅れなどの影響で、出荷停止が続いている製品も72品目に上り、多くは再開時期の見通しが立っていない。

 日本製薬団体連合会の8月の調査によると、出荷が止まったり制限されたりしている後発薬が占める割合は32.3%と、全国的に供給不足が解消されていない状況だ。日医工は「市場全体に寄与できるよう取り組んでいく」とした。

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