4人の主役が軽快に舞う 栄町・阿蘭陀万歳 長崎くんち

稽古で表情豊かに演技するダブルキャストの主役4人=長崎市新地町、湊公園

 かけたり、跳ねたり、躍動感あふれる動きで観衆を笑いに包むのは、栄町の「阿蘭陀万歳(おらんだまんざい)」。貫禄ある雰囲気で扇を手にする「万歳」と、鼓を持ち、ちょこまかと動く「才蔵」が、今年ダブルキャストとなった。4人の主役たちがコミカルにかけ合い、新たな演出に挑戦している。
 和華蘭(わからん)の文化が入り交じり、華やかでにぎやかな長崎の町を表現しようと、3年前からダブルキャストの演出を構想していた。長崎に漂着したオランダ人が、生計を立てるため万才をするという筋書き。胡弓(こきゅう)や三味線の軽快な音色に乗って4人が登場し、途中、鐘の音を聞いて故郷を思い出すシーンが加わった。「また仲間同士、頑張っていこう」と誓い合い、再び踊り始める流れだ。
 主役の一人で才蔵役を務める花柳千花寿郎さん(18)=県立長崎東高3年、久原一花さん=は、「まだ役をつかみ切れていない」ともどかしさを口にする。休憩中も黙々と振りを確認する。理想は17年前、母でもある花柳太香寿郎師匠が演じた才蔵。「表情や体の使い方など課題を母から吸収したい」
 冒頭に、かわいらしい踊りを披露する唐子は、町内の小学生以下の子どもたちが扮(ふん)するのが通例だったが、新型コロナ禍の影響で3年間、延期されたため、唐子たちの年齢層も3歳から16歳までに広がった。小学6年から高校1年までの6人は「お姉さん唐子」として、しなやかに舞う。
 日本舞踊をベースに、軽妙な動きを織り交ぜた創作舞踊。町の伝統を守りながら、異国情緒あふれる長崎の情景をよみがえらせる。

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