米津玄師さん出演CMで人気 雲仙・古部駅に“聖地巡礼” 絶景の島鉄無人駅

古部駅で写真を撮る米津さんのファンら=雲仙市瑞穂町

 有明海がホームの目の前に広がる島原鉄道(長崎県島原市)の古部駅(雲仙市瑞穂町)。人気シンガー・ソングライターの米津玄師さんが出演したコーヒーのCMロケ地として今、注目されている。1日当たりの乗降客数40人ほどの無人駅にもかかわらず、週末を中心に県内外から訪れる若者らが急増。ファンから「聖地」と呼ばれる駅を訪ねた。
 CMは、駅のベンチでコーヒーを飲んだ米津さんがホームで伸びやかな歌声とダンスを披露する。4日から全国放映され、YouTubeの公式チャンネルは3週間で150万回以上再生されている。
 「舞台は古部駅」-。ファンらがネット上で紹介すると、同チャンネルのコメント欄には「ロケ地がすてきすぎ」「絶景」「海辺の駅に行ってみたい」と相次ぎ、人気に火がついた。
 24日午後、8台ほど停められる古部駅の駐車場はほぼ満車。長崎のほか北九州、久留米、熊本など県外ナンバーも多く、マップアプリに「混んでいます」と表示されるほど。
 ホームではファンたちがコーヒーのボトルを手に、ポーズを決めてスマホで写真を撮影。ベージュのシャツを着て訪れた福岡市の女性会社員(33)は「海がすぐそばに見えて開放感がある」、大阪市の女性公務員(27)は「米津さんと同じ場所に立ってみたかった」と満足そうに語った。
 CMを見て懐かしくなり帰省した人も。島原市出身で愛知県に住む男性会社員(59)は「島鉄のどこかだと思い、実家に連絡して古部駅だと知った。この後は(別のCMロケ地の)大三東駅へ行く」と話した。
 駅前にある雲仙茶の直売所兼カフェ「ぽっぽや茶葉」は撮影時に米津さんの控室として使われた。店主の岩永明子さんは「(米津さんと)直接話す機会はなかったが、背が高くて独特の雰囲気があった」と振り返り、「東京、関西など県外からのお客さんが増えた。土日はひっきりなし」と“米津さん効果”を喜ぶ。
 島鉄の担当者によると撮影は7月中旬。「海が見えるぽつんとたたずんでいるような駅」の雰囲気がCM制作監督の目に留まったという。ロケに関する問い合わせが多く「反響が大きく驚いた。西九州新幹線と島鉄で“聖地巡礼”を楽しんで」とPR。線路内に遮断機がないため「安全に注意してほしい」と呼びかけている。


© 株式会社長崎新聞社