定期便誘致の弾みに 茨城空港 ルール緩和、県期待

民間航空機の着陸枠弾力化で新たな路線誘致が期待される茨城空港=小美玉市与沢

茨城空港(茨城県小美玉市)の利用促進を目指し、県と国による民間航空機の「1時間当たり1着陸」運用ルールが緩和される見通しとなった。実現すれば、2010年3月の開港以来初めて。コロナ後の観光誘客を加速させる中、発着枠の拡大は国内外を含む新たな定期便誘致の弾みとなりそうだ。

県空港対策課によると、茨城空港に就航している国内線は9月現在、札幌、神戸、福岡、沖縄の4路線で、運航本数は1日当たり計7往復。国際線では上海(中国)と台北(台湾)の2路線で、1週間当たり計6往復に上る。

チャーター便の就航も好調だ。23年はソウル(韓国)や高雄(台湾)の国際線に加え、隠岐(島根県)、種子島(鹿児島県)、小牧(愛知県)などの国内線も相次ぎ就航している。

県は開港以来、国内外問わず、新たな就航路線の開拓に注力してきた。ただ、航空自衛隊百里基地との共用による「1時間当たり1着陸」の基本ルールが足かせとなり、航空会社が希望する時間帯の就航に応じられず「別時間帯の着陸を提案せざるを得ない」(同課)など、難しい交渉もあった。

今後、発着枠の拡大が実現することで、こうした誘致活動の積極的な展開が加速する。特に新型コロナウイルス後の観光誘客を進める中、インバウンド(訪日客)を含めた観光客誘致に追い風となる。同課は「航空会社の就航ニーズに広く応えられるのは大きい」と話す。

県は将来的な「プライベートジェット」誘致も視野に入れる。企業や富裕層が商用目的に定期便就航のない地域へ移動できることから、米国などで利用が広がっている。

このため、県は企業などの利用ニーズ調査にも乗り出す構え。プライベートジェットの離着陸が可能となれば、大手企業や富裕層の利用が見込めることから、県は「県内経済にも一定の波及効果がある」(同課)との期待を寄せる。

今後の課題は、空港ビルなど受け入れ体制の整備。大井川和彦知事は「インフラ、滑走路、ターミナルビルの見直しをする必要が出てくるかもしれない」と述べ、CIQ(税関、出入国管理、検疫)などターミナル機能強化の検討を進める意向を示した。

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