奥州市の国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹(まれき)所長)の研究者を含む国際チームは、巨大ブラックホールが自転している証拠を得たと、28日付の英科学誌「ネイチャー」に発表した。中心から噴き出す「ジェット」を長期間観測した画像を分析し、噴出方向が約11年の周期で変化するのを確認。これが自転に起因すると理論シミュレーションで裏付けた。
チームは地球から約5500万光年の距離にあるM87銀河の中心部を観測。同観測所や韓国、中国などの電波望遠鏡で構成する「東アジアVLBIネットワーク」のデータを中心に23年間で蓄積したジェットの画像170枚を分析した。
この結果、噴出する向きが周期で変化していることが判明。同観測所にあるスーパーコンピューター・アテルイⅡで理論シミュレーションを行い、ブラックホールの自転によって起こる「レンズ―シリング歳差(首振り)運動」という現象に起因することが分かった。