「青の画家」佐野ぬいさん追悼展、28日から青森市で ゆかりの人々の所蔵品中心に

佐野ぬいさんを追悼する企画展の会場で思い出を語る新岡さん(左)と高樋さん

 8月に死去した青森県弘前市出身の洋画家佐野ぬいさんをしのぶ企画展「追憶~画家・佐野ぬい」が28日、青森市桜川のギャラリークレイドルで開幕する。佐野さんの友人や母校の女子美術大学の同窓生らゆかりの人々が個人で所蔵する絵画や写真などを出品し、「ぬいブルー」に象徴される代表作とはひと味違った初期の作風や、気さくな人柄を振り返る内容となっている。

 企画展は同ギャラリー主宰の高樋忍さん(58)が「大きな美術館とは違う形で地元出身の画家を追悼したい」と関係者に打診し実現。同大同窓会青森支部の新岡悠佳里支部長(74)らが所有者に交渉し、個人宅で愛蔵されてきた作品16点がこの展示のために貸し出されることになった。

 会場には学生時代のスケッチから「青の画家」として活躍した1990年代にかけての水彩、油彩、ミクストメディアなどのほか、佐野さんが表紙を担当した往年のタウン誌「キャロット」やスナップ写真、個展の画集なども並ぶ。

 高校から大学時代に佐野さんに直接指導を受け、家族ぐるみの付き合いを続けてきた新岡さんは「個々の家で大切にされてきた作品が縁あって一つの空間に集まったのを見ると、ぬい先生とのさまざまな思い出がよみがえる」と感慨深げ。高樋さんは「小作品が中心だが、美術館に収蔵された著名な大型作品とは違う魅力を感じてもらえると思う。作品の前で佐野さんを語り、しのぶ場にできたらうれしい」と話している。

 会期は10月3日まで。入場無料で午前10時から午後5時まで。

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