袴田さん再審の行方 専門家はどう見る? 6回目三者協議で初公判日程が事実上決まるも…(静岡県)

袴田 巌さんの再審、裁判のやり直しをめぐり、27日に行われた三者協議で、再審の初公判が10月27日に行われることが事実上決定しました。袴田さんの裁判を長年研究してきた専門家は、再審の行方をどのように見ているのでしょうか?

(袴田ひで子さん)

「もう半年で終わると思うと一安心でございます」「検察官にもお世話になった、皮肉でも何でもないですが」「判決は私は絶対無罪だと思っております」

会見で安堵の表情をみせた袴田 巌さんの姉、ひで子さん。6回目の三者協議が行われた27日、裁判所が提案した、計12回の公判候補日を弁護側と検察側が受け入れ、事実上、10月27日に初公判が行われることが決定しました。

1966年、旧清水市でみそ製造会社の一家4人を殺害したとして、死刑判決が確定した袴田 巌さん。2023年3月、再審開始が決定したことを受け、現在、再審公判に向けた協議が弁護団と検察、裁判所の3者で進められていています。

27日の協議では、どのように再審公判を進めていくのか、具体的な予定について話し合われ、10月27日の初公判では、袴田 巌さんの姉、ひで子さんが保佐人として意見を述べるほか、冒頭陳述や証拠調べが行われる予定です。また、年内に行われる4回の裁判で証拠調べを終わらせ、年明けから、弁護側と検察側が請求する専門家の証人尋問が行われる見込みで、裁判所は年度末までに結審したい意向を示しています。

(弁護団 間 光洋 弁護士)

「年度内結審のためには検察官と弁護団は問題意識を共有して、1月、2月で証人尋問を終わらせないと3月結審は難しい」

早ければ年度内にも結審する袴田さんの再審。日本のえん罪事件を長年研究し、袴田さんの経緯も見続けてきた九州大学名誉教授の大出 良知さんは、初公判から結審まで半年というスケジュールについて、比較的早い進行だと話します。

(えん罪事件に詳しい 大出 良知 さん)

「これまで死刑の再審事件は4件ある、比較すると少なくとも裁判所は(袴田さん再審は)早期に決着をつける、スピード結審ということになるのかもしれない、この事件はすでに2回、再審開始決定が認められている、審理自体は圧縮されて実施され、書証の読み上げでほとんどが済むと思う」

一方、再審公判では、犯行時の着衣とされる”5点の衣類”を、捜査当局がねつ造した可能性についても争われることになります。

(えん罪事件に詳しい 大出 良知 さん)

「(再審開始決定で)ねつ造を指摘されたのは捜査当局 検察側にとって極めて重大な問題、その可能性をできるだけ否定したいのは間違いない、だからといって開始決定が認めたねつ造の可能性を覆すのは無理だと思う、そのことで有罪を立証できる証拠価値が備わるわけではないので、最後の抵抗だと思う、少し時間はかかるが、無罪という結論は動かないと申し上げていいと思う」

また、結審した後も、裁判所が判決文を書く時間が必要なことから、さらに、判決が出るまで3~4か月かかる可能性が高いということです。

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