もてぎで電撃復帰のリンス、「きっと明日は時差ボケ……でも確認したかった」/MotoGP第14戦日本GP

 アレックス・リンス(LCRホンダ・カストロール)が、MotoGP第14戦日本GPで怪我から復帰する。リンスがエントリーリストに名を連ねるのは、6月のイタリアGP以来8戦ぶりのことだ。急遽参戦のリンスだが、日本GPは怪我の状態を確認するための「テスト」であり、無理はしないという。

 リンスが日本GPで復帰するというニュースが飛び込んできたのは、レースウイークが始まる直前の9月27日のことだ。スペインから日本に飛んだリンスは28日、サーキットに到着。メディカル・チェックを通過して復帰が決定した。

 長期欠場の理由は、イタリアGPスプリントレースでの転倒だった。右足脛骨と腓骨を骨折したリンスは、2度の手術を受けたのち回復に努めており、日本GPまで欠場が発表されていたが、急遽の参戦となった。

 この日の午後、囲み取材のためメディアセンターにやってきたリンスは、まだ完治していない様子の右足を椅子に伸ばして負担を軽くするように努めながら、ジャーナリストの質問に答えていた。

「復帰できてうれしい。とても感動的だ。2日前、僕はマドリードの病院にいて、レントゲンを見比べながらドクターと話していたんだけど、間違いなくひと月前と2日前の状態がかなり違っていた。というわけで、僕たちはそのままの回復プロセスを続けることにしたんだ。そして次のステップは、MotoGPマシンに乗ることだ」

「今回は一歩進んだリハビリというわけなんだ。ストリートバイクとMotoGPマシンのフィーリングを比較するのはすごく難しい。怪我をしてから初めてバイクに乗ったんだけど、それはとても小さなバイクで、痛みはひどかった。10周もできなかったくらいだ。少ししてからストリートバイクに乗って、20周くらい走った。痛みはあったけど、小さいバイクで走ったときよりは痛みは軽くなっていた」

 リンスの今回の参戦は、「MotoGPマシンで走ったときに痛みがあるのかどうか」を確認することが主な目的だという。とはいえ、スペインから16時間もかけてやって来なければならない日本GPで焦って復帰せずともよいのでは、とも思える。ドクターもリンスにそう尋ねたそうだ。「どうしてそんなに復帰を急ぐんだ?」。リンスの回答はこうだった。「違いがあるなら、それを実感したいんだ」。

「ひと月前に乗ったバイクは(車両重量)250kgだったけど、150kgのMotoGPマシンで確認したい。すごくパワフルで、(ストリートバイクよりも)剛性が高いけど、フィードバックがほしかったんだ。僕は数週間前にジムで通常のトレーニングを再開したんだけど、MotoGPマシンではテストしていないから」

 リンスは「困ったことに、日本ってうち(スペイン)からすごく遠いんだよね……。きっと明日は時差ボケだよ」とも付け加えて、困ったように笑った。

「明日、痛みがものすごくひどかったら、土曜日、日曜日はもう走らないよ。ここには“テスト”のために来たんだ」と語っていたことから、金曜日は様子を見ながらの走行になるだろう。ともあれ、大きな怪我を負ったリンスがMotoGPマシンで走行できる段階にまで回復したということは、喜ばしい事実だ。

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