【ミャンマー】人権高等弁務官、国際刑事裁判所へ付託要請[社会]

国連のフォルカー・テュルク人権高等弁務官は26日、スイスのジュネーブで開会中の第54回国連人権理事会で、ミャンマーで人権を取り巻く環境の悪化が続いているとし、国際刑事裁判所への付託を改めて要請した。

テュルク氏は2022年4月1日から23年7月31日までの期間を対象としたミャンマーの人権侵害に関する報告書を提出。国軍が民間人に対する攻撃をさらに拡大していると強調した。

具体的には、国軍とその協力組織によって4,108人の命が奪われ、空爆が687回、10人以上が犠牲となった地上での大量殺りくが22件あったと報告。法の支配は消滅しており、2万4,836人が逮捕、1万9,264人が拘留されたままで、150人が公正な裁判を受けることなく軍支配下の裁判所で死刑判決を言い渡されたと説明した。

その上で、国軍による支配は民衆を強制的に服従させ、軍の利益を維持するための抑圧システムだと批判。5月にミャンマー西部を襲った大型サイクロン「モカ」の後に国際的な人道支援が制限されたことは、国軍が救命支援を切実に必要とする住民の福利より自らの政治的利益を優先していることを示す顕著な例だと非難した。

また、食料も行き渡らなくなり、特にミャンマーの主食である米の供給が多くの地域で極端に制限されていると説明。イスラム教徒少数民族ロヒンギャが多く暮らす西部ラカイン州で状況がとりわけ悪化していると窮状を訴えた。

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