【タイ】予想外の利上げ、家計や企業負担増の懸念[経済]

タイの金融政策委員会(MPC)が27日に予想外の利上げを実施したことで、エコノミストは家計や中小企業の債務返済負担が増大するとの懸念を示した。新政権の景気振興の動きと逆行し、政策の効果が下がるとの見方も出ている。28日付クルンテープ・トゥラキットが報じた。

MPCは27日、政策金利を据え置くとの大方の予想を裏切り、0.25%引き上げて2.50%とした。カシコン銀行傘下のシンクタンク、カシコン・リサーチ・センターのブリン・チーフエコノミストは利上げについて、新政権の政策で今後物価上昇率が高まるとの懸念や、バーツ安が急速に進んでいる現状から、金融の安定化を図ったと指摘。ただ、新車販売の減少や不良債権(NPL)の増加といった経済減速の兆候がある中での利上げは不適切とし、家計債務の増加に懸念を示した。また利上げは今回が最後とすべきだと述べた。

マレーシア系CIMBタイ銀行でリサーチ部門の責任者を務めるアモンテープ氏は、利上げは新政権の最低賃金引き上げやデジタル給付金といった政策でインフレが進むことなどを懸念したためとの見方を示した上で、金融政策が新政権の方針と矛盾し、新政権の政策の効果が下がることで、追加の景気刺激策が必要となる可能性もあると予測した。

キアットナキン・パトラ証券のピパット社長は、金利が高過ぎて経済全体に影響が出ることを懸念し、中小企業や家計が最も影響を受けると述べた。

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