全国高校サッカー選手権県予選前企画(6) 大分西 スマートなサッカーからの脱却 【大分県】

10月21日に幕を開ける「全国高校サッカー選手権大分県大会」。36チームが集い、憧れの選手権を目指す。3年生にとっては高校部活動の総決算となる大一番だ。どのような熱戦が見られるのか。シード校を中心に注目チームを紹介する。最終回は足下の技術を駆使したパスサッカーから、ガムシャラにボールを追う泥くさいサッカーに転じた大分西。

【チームパラメーター】

攻撃力 7

守備力 8

組織力 6

体力 6

精神力 6

3年生力 8

今大会の番狂わせを狙う大分西は、これまでと異なるアプローチでチームをつくっている。パスを丁寧につなぎ、スマートなサッカーが特徴的だったが、「反すれば相手にとって怖さがなく、安全なプレーばかりを選んでいた」とは黒木一輝監督。今大会に向けて、まずは失点せず、勝負にこだわることを念頭においた。

夏休みは課題だった体力不足に取り組み、最後まで走り切る走力を手にした。3年生の一部が県高校総体で引退したため、その穴を埋めるために下級生を積極的に試合で使い、組織力の向上に努める。決定力不足は個人の能力に委ねるのではなく、組織で攻撃の形を作るために攻守連動の重要性を認識させ、守備から試合をつくることを徹底した。

守備強化に取り組んだ

守備の約束事、個人の見解をすり合わせることに時間はかかったが、「話し合うことでチームに一体感が生まれ、支え合うことができた」とキャプテンの井元禅(3年)。今年度、2部から昇格した高円宮杯JFA U-18 OFAリーグ(1部)では、試合を重ねるごとに自信を深めている。

今大会では、3年生を中心に「勝っても負けても、このメンバーでサッカーができる最後の大会。優勝して終わりたい」(井元)との思いは日を追うごとに高まっている。結果を残すために必要なことを整理し、チーム全体に「守備から入る意識」は高まっている。サイドを経由することが多かった攻撃は、多少強引でも中央突破を狙う。これまでと異なり、力強さが全面に出るようになったチームは、キックオフの笛が鳴った瞬間から全力プレーする。「選手一丸となって自分たちのプレーを出し切る」との思いは強い。

勝負にこだわることを念頭においてチームづくりが進んだ

(柚野真也)

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