小4死亡、車にはねられる…好きな甘栗、二度と食べられず 逃げる犯人14年追う母…会ったことないSNSの協力者、時効撤廃へ大勢の署名集める 今も届く情報410件、さらに呼びかけ 母「今チャンス」の理由

小関孝徳君の仏壇の前で手を合わせる孝徳君の母親=熊谷市の自宅

 埼玉県熊谷市で2009年9月、小学4年の小関孝徳君=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件は、30日で発生から14年を迎える。時効まであと6年となるが、孝徳君の母親は情報提供の呼びかけと死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を求める活動を続けている。母親は「何年たっても犯人が逮捕されることを願っている。逃げることを考えない、逃げ得を許さない社会をつくることが重要」と今も全力を尽くしている。

 事故が起きたのは09年9月30日午後6時50分ごろ。孝徳君は自転車で帰宅途中、熊谷市本石1丁目の市道で事故に遭った。16年に道交法違反(ひき逃げ)の時効が成立。県警は自動車運転過失致死罪の時効が目前だった19年9月、罪名を危険運転致死罪に変更し、捜査を継続することになり、時効は10年延長された。

 母親は19年1月からブログを始め、交流サイト(SNS)を通して情報提供を呼びかけ、今年8月までに約410件が寄せられた。死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を求めて署名活動も行っており、オンライン署名と手書き署名を合わせて計約9万6千人の署名を集めた。

 新型コロナウイルスの影響で署名活動は難しくなっていたが、今年8月にはSNSを通して知り合った協力者が長崎県佐世保市で署名活動を行い、137人の署名を集めたという。母親は「直接会ったことがない人なのに、ここまで動いてくれて本当にありがたい」と感謝する。

 内閣改造では埼玉11区(深谷市など)選出の小泉龍司衆院議員が法務大臣、埼玉7区(川越市など)選出の中野英幸衆院議員が法務大臣政務官に就任した。母親は「法律を変えるには時間がかかるけど、今がチャンスだと思っている」と、法務省などに死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を求める嘆願書を提出する予定だ。

 秋の全国交通安全運動初日の21日、母親は地元コミュニティーFM「FMクマガヤ」にも出演。孝徳君から甘栗を買ってほしいとせがまれた際、仕事帰りで疲れていたため、買わなかったことを明かし、「息子は二度と甘栗を食べることはありませんでした。あの時、目に涙をためて、我慢をしていた横顔が忘れられません」と涙ながらに語った。

 30日には事故現場付近で午後4時から県警とチラシを配る。ラジオで母親は孝徳君へ「あなたにいつか会える日が来るまで、お母さんは頑張って生きてみます。見ていてほしい」と話していた。

 母親のブログは「《未解決》熊谷市小4男児死亡ひき逃げ事故!」(https://ameblo.jp/kosekitakanori/)。

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