寝込む男性、国道中央であおむけ…頭から血 通ったタクシー運転手、助けようとしたら猛抵抗される 目撃者が通報、警官が来るまで押し問答しつつ、事故から守った運転手 その後、男性がお礼

斎藤一希さん(左)と橋本昭文浦和署長=浦和署

 埼玉県さいたま市浦和区内の国道で寝込んでいた男性を救助したとして、浦和署は、同市西区のタクシー運転手斉藤一希さん(36)に感謝状を贈った。

 斉藤さんは今月2日午前4時35分ごろ、同市浦和区の北浦和駅西口近くを通る国道17号線をタクシーで走行中、道路の中央にあおむけ状態で倒れている70代男性を発見。車両のハザードランプを点滅させた状態で路肩に停車させ、男性に駆け寄った。男性は酒に酔っており、声をかけると反応し起き上がったものの頭部から出血している状態だったという。

 「お父さん、ここで寝てたら危ないから」と話しかけ歩道まで誘導しようとしたが、男性は抵抗。2~3分ほど車道上で押し問答をしていたところで、目撃者からの通報を受けて臨場した警察官に男性を引き渡し、保護することができた。その後、男性から感謝の電話を受け「何事もなくてよかった」と振り返った。

 感謝状を受け取り「身に余る思い」と控えめな笑顔を見せ「タクシー運転手はいろいろな状況に出くわす。これからも毎日安全にやっていくだけです」と語った。

 同署によると、県内で8月末までの間に酩酊(めいてい)や徘徊(はいかい)、寝そべりなどが原因の交通事故で亡くなったのは4人。神奈川県、茨城県、東京都、大阪府に次いで5番目に多いという。橋本昭文署長は「放っておくと重大事故につながる恐れがある」とした上で「薄暮時や明け方などの薄暗い時間帯が一番危険。機転を利かせた行動でありがたい」と感謝の言葉を述べた。

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