埼玉の子ども医療費、助成拡大へ 通院は小学3年生まで、入院は中学3年生まで対象に さらに今後の見通しは

県の子ども医療費助成、通院は小3、入院は中3まで

 大野元裕知事は28日、埼玉県議会9月定例会で、未就学児までとしている県の子ども医療費助成の対象を、2024年度から通院は小学3年生まで、入院は中学3年生までに拡大する方針を示した。県議会の一般質問で浅井明県議(自民)、安藤友貴県議(公明)の質問に答える形で明らかにした。

 一般質問の答弁で大野知事は「国の統計では通院に関する1人当たりの医療費は10歳を超えると医療費が著しく少なくなる。一方、入院は1件当たりの医療費は通院より大きいものの、年齢による差は見られない。このため、通院は9歳までが助成対象となるよう小学3年生まで、入院は全ての市町村が助成対象としている中学3年生まで、県の助成対象を拡大する方向で進めたい」と述べた。

 通院や入院など保険診療の自己負担分が助成される対象年齢は「中学卒業まで」「18歳の3月まで」など居住する市町村によって異なり、大野知事は以前から「地方自治体がそれぞれ競争するようなものであってはならない。ナショナルミニマム(最低限の生活保障)として国が統一的に実施するべき」との持論を掲げてきた。

 県としても国が4~6月に有識者を集めた「こども未来戦略会議」の動向を注視し、全国知事会などを通じて子育て支援策の実施を働きかけていたが、6月に国が示した「こども未来戦略方針」に子どもの医療費助成制度の創設は盛り込まれなかった。

 市町村からも負担軽減の要望は多く、昨年の県議会9月定例会では、対象年齢を小学3年生まで引き上げると11億円の負担増となる見積もりが示されていた。

 県国保医療課は「各市町村による子育て支援の拡充を前提として、助成の対象年齢引き上げと所得制限を撤廃する方針。財源を含めて検討していく」と今後の見通しを語った。

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