30年経てどう歌うか注目、小泉今日子の90’sクラブツアー

女優で歌手の小泉今日子が、全国11都市を巡るクラブツアー『KYOKO KOIZUMI CLUB PARTY 90’s』を開催。関西では11月25日に「Zepp Namba(OSAKA)」(大阪市浪速区)でおこなわれる。

小泉今日子

■ 脱アイドルな独自の音楽世界を模索してきたキョンキョン

小泉今日子という人はOver40にとって、たんにアイドルとか女優とかアーティストを超えた、特別な存在ではないだろうか。

1982年に『私の16才』でデビューした小泉。当初こそ、当時一世を風靡していた松田聖子のフォロワー的な印象もあったが、1984年の5thシングル『真っ赤な女の子』で自身の発案により髪をショートにしてイメージチェンジ。同期のアイドルのなかで一躍、頭角を表した。

9thシングル『渚のはいから人魚』の際には、アイドル初の刈り上げヘアで世間のど肝を抜き、1985年には人気絶頂のアイドルが「私はアイドル」と歌う、前代未聞のナンバー『なんてったってアイドル』をリリース。新時代のアイドル像を高らかに宣言してみせた。

80年代後半以降は自身で作詞を手掛け、同時代の先鋭的なミュージシャンやクリエイターと交流を深めながら、脱アイドルな独自の音楽世界を模索してゆく。当時トレンドの最先端だったMILK、VIVA YOUといったブランドの衣装をパンキッシュに着こなし、自身を「コイズミ」と呼ぶ。自由奔放で媚びない彼女のキャラクターは、同性から見ても実に痛快でカッコよかった。

当時もパンクな女性アーティストはアンダーグラウンドシーンにはいたが、小泉のように芸能界のど真ん中で活躍できるメジャー感と先鋭性を併せ持った人は、当時はもちろん、今もほかにいないのではないだろうか(強いて言えば、今の菅田将暉が近い?)。

■ 90年代クラブミュージックの蜜月期の楽曲にスポット

そんな小泉がコアな音楽ファンからも一目置かれるきっかけとなったのが、近田春夫をプロデューサーに迎え、当時日本でも火が付きつつあったクラブミュージックを導入した1989年のアルバム『KOIZUMI IN THE HOUSE』だ。

本作で出会った編集者・川勝正幸の協力のもと、小泉は藤原ヒロシ、東京スカパラダイスオーケストラ、屋敷豪太、ASA-CHANG、小西康陽、小山田圭吾、テイ・トウワ、田島貴男といったクラブ系/渋谷系ミュージシャンと刺激的なコラボレーションを展開。日本のロック/ポップス史上に刻まれるべき名盤を次々に生み出してゆく。

今回のツアーは、まさにそんな小泉と90年代クラブミュージックの蜜月期の楽曲にスポットを当てたツアーとなる。あれから30年を経た小泉が当時の楽曲をどのように歌うのか? 小泉のファンにはもちろん、90年代ポップカルチャーファンにとっても見逃せない貴重なツアーとなることは間違いない。

80年代にスポットを当てた前回のツアーは各地でソールドアウト。今回もチケットは早めの入手がベターだ。チケットは9月30日・朝10時から発売される。

文/井口啓子

『小泉今日子 TOUR 2023 KYOKO KOIZUMI CLUB PARTY 90's』

日時:2023年11月25日(土)・18:00〜
会場:Zepp Namba(OSAKA)(大阪市浪速区敷津東2-1-39)
会場:8800円(1ドリンク代600円別途要)
電話:06-6344-3326(ソーゴー大阪/平日14:00~16:00 ※土日祝休)

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