シーボルト来日200周年 長崎市で記念展が開幕 日本での足跡たどる絵図や文書250点

シーボルトのゆかりの絵図や文書などが並んだ「大シーボルト展」の会場=長崎市、長崎歴史文化博物館

 江戸時代後期の出島オランダ商館医フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(1796~1866年)の来日200周年を記念する「大シーボルト展」が30日、長崎県長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館で開幕する。29日は開会式と内覧会があり、関係者ら約130人が日本での足跡や業績をたどる展示に見入った。
 ドイツ人で医師・博物学者のシーボルトは1823年出島に着任。長崎に鳴滝塾を開き、全国から集まった門人に医学、博物学を伝授。オランダ商館長の江戸参府に随行して日本研究を進めた。日本地図の海外持ち出しを図った29年の「シーボルト事件」で国外追放されるが、帰国後西洋に日本を紹介。59年には2度目の来日を果たした。
 同展は同博物館と県、市でつくる実行委が主催。同博物館の収蔵品のほか国内各地から集めた絵図や文書、ゆかりの品など約250点を、プロローグと第1~5章、エピローグに構成して展示。シーボルトが当時目にした長崎と日本の姿や大名、門人らとの交流の様子などが浮かび上がる。
 展示品のうち出島出入り絵師川原慶賀の「商家の使用人/掛取人物図」は、同博物館が昨年度収蔵したもので、今回が初公開。絵の中に「文久二年」(1862年)との記述があり、同年以降の作。没年が不明な慶賀の最晩年の作品で、再来日時のシーボルト直筆とみられる書き込みがある。
 開会式では大石賢吾知事、マーク・カウパース駐大阪オランダ総領事らがテープカットをして開会を祝った。
 同展は11月12日まで(10月2、16日、11月6日は休館)。料金一般千円、高校生以下無料。期間中は同博物館などで県内外の研究者らによる関連の講演会、シンポジウムが相次ぎ開かれる。

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