墨田区版“赤ちゃんポスト”小池知事「赤ちゃん守る態勢が必要」

「赤ちゃんポスト」の設置方針に小池知事も言及です。墨田区の病院がいわゆる「赤ちゃんポスト」の設置準備を進めていることについて小池知事は、「赤ちゃんを守る態勢作りが必要だ」という認識を示しました。

墨田区の賛育会病院は、親が育てられない乳幼児を匿名でも受け入れるいわゆる「赤ちゃんポスト」の設置や、病院だけに身元を明かして出産する「内密出産」を来年度から実施する計画を表明しています。

この計画について、9月29日の定例会見で小池知事は、墨田区と連携しながら、病院側に詳細な説明を求めている段階であると明らかにしました。その上で現在、全国で唯一「赤ちゃんポスト」を行っている熊本の病院とは違う形を考えなければいけないと指摘しました。

小池知事:「東京は人が集まるところでもあります。そういう意味で、こういう場所ができますと東京を目指すようなこともあるのではないか。そのあとどうしますか、ということも想定して準備もしなければならない。詳細はこれからの計画を伺いながら地元、区とも連携して、預かる赤ちゃんをどういう風に守っていくのか、その態勢をしっかりと整えないといけなくなると思われます」

赤ちゃんポストの設置計画について、墨田区民は…

「マイナスのイメージは特にないです。本当にどうしようもなくて困ってる人だったら、殺さなくて済むんだったらそれはいいことなんじゃないかなと、個人的には思ってます」
「賛成です。公衆トイレかなんかで産んじゃって子どもをそのまま捨てちゃうとか、そういう事件もあるじゃないですか。そういうことがないようにするには、熊本にあるようなのが東京にもあったらいいなあと思ってた」

一方で、設置に理解を示しつつも、複雑な思いを語る人も…

「理解できないところもありますね、今の人の考えが。お互いに尊重しながらね、子どもを産むっていうことも大事じゃないかなと思いますよ。ちょっと軽率になってる部分もありますよね、人間として」

ここからは取材する記者の椿原さんとお伝えします。墨田区で来年度の開設を目指すということでしたが、東京都や区市町村との連携は、どういう形を想定しているんでしょうか?

赤ちゃんポストの設置を目指す賛育会病院では、預けられた赤ちゃんの身元が分からなかった場合、それぞれこういった役割を担うことを想定しています。病院は、赤ちゃんを一時保護したあとに児童相談所と警察に連絡します。そして国は生まれた場所となる自治体が戸籍を作るよう定めていますので、区が戸籍を作ることになります。

都の管轄である児童相談所は、乳児院や里親への委託を行います。赤ちゃんを守るために、それぞれの役割を果たすことが必要となりますので、連携の強化が求められることになると思います。

国内で唯一、赤ちゃんポストを設置している熊本県の慈恵病院を今年4月に取材したんですが、設置された2007年に熊本市長だった幸山さんは、設置にあたって「許可の先」が大切だと指摘しています。

元熊本市長 幸山政史さん:「ゆりかごが許可しました、できました、それですべてがバラ色かというと決してそうではないということですよね。そこから先がとても大事なんだというような。そこも含めた覚悟を持つということが大事なんだろうと思います」

預かった赤ちゃんをどうやって育て、見守っていくのか、行政もしっかりと向き合う必要がありそうです。

都内での赤ちゃんポストの設置は、先に江東区でも計画が持ち上がっていました。江東区では、去年9月に医療法人社団「モルゲンロート」が計画を発表しました。今年5月には江東区に担当窓口を設置するよう求めましたが、区からの回答は現時点でまだ得られていないということで、設置に向けた進捗が見られていない状況です。また法人は、当初豊洲か青海での開設を予定していますが、場所を変更して、来年秋の開設を目指しているということです。

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