【MLB】ヤンキースの大誤算 不振に終わったFA左腕ロドンの大型契約1年目

写真:ロドンは大型契約1年目を防御率6.85で終えた

9月29日(日本時間30日)のロイヤルズ戦に登板したヤンキースのカルロス・ロドンは、初回から一死もとることができずに8者連続出塁を許し降板。後続が打たれ、0回8失点と自身ワーストの投球になった。これが今季最終登板だったロドンの成績は、14試合に先発し3勝8敗、防御率6.85、64回1/3、64奪三振、WHIP1.45。

大型契約は常に大きなリスクをはらむものだ。ヤンキースは2019年オフ、FAとなっていたゲリット・コールを9年3億2400万ドルという投手史上最高額で獲得した。コールは移籍後も素晴らしいパフォーマンスを続け、4年目の今季は自身初のサイ・ヤング賞の栄冠に輝く可能性が高い。非常に高額な契約ではあるが、今のところコールの獲得は成功していると言っていいだろう。

一方、コールとダブルエースになることを期待されたロドンについては、1年目から暗雲立ち込める状況だ。

ロドンは2021年に規定投球回未到達ながら防御率2.37という好成績でサイ・ヤング賞投票5位にランクイン。翌2022年は規定投球回に到達し防御率2.88と素晴らしい活躍だった。シーズン終了後、オプトアウトの権利を持っていたロドンはFAになり、6年1億6200万ドルという大型契約でヤンキースに加入した。

本塁打のア・リーグ記録を樹立したアーロン・ジャッジを9年3億6000万ドルで引き留めることに成功し、ロドンという左のエース候補を獲得したヤンキースは、チームの年俸総額MLB全体2位という編成で今季のワールドシリーズ制覇を狙っていた。

ところが、ふたを開けてみれば今季のヤンキースは2016年以来の地区4位に終わる見込み。一時は最下位に転落した時期もあるなど、近年最悪のシーズンを送っている。その主な要因は故障者の続出や高年俸選手の不振にあるが、中でもロドンの離脱や不振は大きな誤算となった。

3月に前腕に違和感を覚え開幕を故障者リスト(IL)入りで迎えると、その後背中の痛みで投球ができない状態に。結局ヤンキースデビューできたのは6月7日になってからだった。さらに8月にはハムストリングを痛めて再びIL入り。投球自体も昨年までとは似ても似つかない出来だった。被弾が増え自慢の奪三振力も低下。14先発のうちクオリティ・スタート(6回3自責点以内)を達成したのはわずか3回だけだった。

ロドンの契約は残り5年。今後も今季のようなパフォーマンスが続けば、球団史上ワーストの契約にもなりかねない。しかし、まだ30歳の左腕はここから立て直せるはずだ。

2月の入団会見で、ロドンは「ヤンキースのファンは勝ちたがっている」と言った。来季こそはそのファンに報いることができるだろうか。

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