残念…いじめ報告書ミス、確認不足のまま公開していた いじめられた生徒の母「認識こんなものなんだ」 生徒通う学校名は黒塗り、“重大事態”どこで起きた…母が学校名を公開してほしかった理由

いじめ報告書の黒塗り、外れぬ状態で再公開 母親は

 埼玉県立学校で発生したいじめ事案に関して、8月に県教育委員会が県ホームページ(HP)上で掲載したいじめ重大事態報告書のマスキング(黒塗り)の一部が特定の操作によって外れる状態になっていた問題で、県教委は29日、公開を取りやめていた報告書を修正しHP上に再公開した。埼玉新聞の取材に応じた被害生徒の母は、いじめ問題に対する認識の甘さを指摘し、再発防止に向けて校名の公表を求めた。

 再公開されたのは「いじめ事案に関する報告書」(全15ページ)と被害生徒の保護者による「報告書に対する所見」(全7ページ)の2部で、黒塗りが外れないよう修正したほか内容に変更はない。8月の公表時は報告書のうち、「所見」で被害生徒の通う学校名や学年、学級などにかけられた黒塗りが全ページ外れる状態になっていた。

 県教育局生徒指導課は「マスキング作業におけるマニュアルの確認不足だった」と説明。「今後は印刷したものを読み取り、複数の目で確認してから公開するなど、マニュアルに沿って対応していく」とした。当該校については、8月末に県教委の職員が出向いて、教職員に対する研修を実施している。

 被害生徒の母は埼玉新聞の取材に「マニュアルも確認せずに公表したと聞き、いじめに対しての認識はこんなものなんだと思い残念」と語った。

 被害生徒は当該校の在校生徒、保護者にいじめ重大事態が当該校で起こったことであると知らせてほしいと要望したが、個人情報保護を理由にかなわなかったといい「また同じことが起こるのではないか」と懸念。「子どもの希望は、当該校で二度と自分と同じような被害者を出さないこと。再発防止のためにもせめて学校名を公表してほしい」と要望した。

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