県内外から感謝と期待 前田家当主・利宜氏に交代

 加賀藩祖・前田利家から続く前田家の18代当主利祐(としやす)氏(87)の交代が明らかになった30日、石川県内外の関係者から利祐氏に対する感謝の声が聞かれた。19代目として家督を継承する、長男で老舗喫茶店「イノダコーヒ」(京都市)の社長利宜(としたか)氏(59)には歴史文化の継承や県人会活動に対する期待の声が相次いだ。

 加賀藩前田家の奥方御殿「成巽閣」(金沢市)の吉竹泰雄館長は、利祐氏について「優しく包容力のある方。何事も安心して相談することができる」と強調。「視野の広い利宜氏は前田家の文化財を次代につなぐ知恵を出してくれると思う」と期待を寄せた。

 前田家は家督継承の儀式として、11月3日に金沢市の尾山神社で奉告祭を執り行う。加藤治樹宮司は「利祐氏は元気なうちに交代したい思いがあったのだろう」と推察し、静かな環境で当主交代が進むよう努める考えを示した。

 利宜氏は東京都出身。1987年に上智大外国語学部を卒業後、三菱商事を経て、2020年7月からイノダコーヒ社長。利祐氏は父で17代当主の利建(としたつ)氏が1989年に死去したのに伴い、家督を継承した。

 利祐氏は長く県人会活動を支えており、目黒県人会の細川雅義会長は「さまざまな県人会のイベントにお付き合いいただき感謝している。利宜氏ともよい関係を続けていきたい」と話した。

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