モンテホーム戦でのネット接続、何とかして 利用集中し処理能力超え、携帯各社が対応乗り出す

1万2533人がスタジアムに詰めかけたホーム仙台戦のゴール裏。多くの人が来場する試合では携帯電話からネット接続しづらい状況が発生し、入場や買い物に支障が出るケースもある=7月1日、天童市・NDソフトスタジアム山形

 サッカーJ2・モンテディオ山形が本拠地にする天童市のNDソフトスタジアム山形(県総合運動公園陸上競技場)一帯は、試合開催時、携帯電話でインターネットに接続しづらい状況になっている。接続が集中し、基地局の処理能力を超えるためで、入場や買い物に支障が出ている上、勝利の喜びを交流サイト(SNS)で共有できずにストレスを感じる観戦客も。チームは携帯各社に改善を要望し、NTTドコモは対策に乗り出した。

 チームは電子チケットやキャッシュレス決済を導入しているが、この状況を受けて、観客に対策を要請した。来場前に画像保存した入場用QRコードや電子決済アプリ以外の決済方法の利用を奨励。デジタル化に逆行するような呼びかけを行わざるを得ない状況になっている。スタジアムのフリーWi―Fiの使用も呼びかけている。

 不便を感じる観戦客は多い。特にハーフタイムや試合終了直後は接続しづらいというのが、サポーターの共通認識だ。

 「買い物時に電子決済アプリを開けず、困ったことがある」と語るのは山形厚生看護学校1年朝倉颯(はやと)さん(19)。同佐藤慶一さん(19)は「(1万4618人が訪れた)8月の千葉戦はかなりつながりにくいと感じた」と話す。他の観戦客からも「SNSにすぐ写真や動画を投稿できない」「他チームの結果が気になっても確認できない」と不満の声が上がっている。

 携帯各社もこの課題を認識し、対応を進めている。NTTドコモは8月末に基地局を増設。9月3日の大宮戦では現地に担当者を派遣し、通信状況が良好であることを確認した。SNSに状況が改善されたと投稿する観戦客もいた。

 楽天モバイルも基地局を増設し、今秋に運用を始める予定。現段階で基地局増設の計画はないというKDDI(au)とソフトバンクも、申告状況を踏まえて現状を確認し、通信の最適化に努めるとしている。

 それでも、接続しづらいと感じる観客がいる状況は続いている。モンテの相田健太郎社長は「スタジアムに限らず、観光地やビジネスでも、デジタル化を進める上で安定した通信は何より重要。官民一体で改善に取り組む必要がある」と指摘する。公園設置者の県は試合を主催するチームに携帯会社への相談を促しつつ、「状況を見ながら関係者と対応を協議する」としている。

 【メモ

 携帯電話は一般的に、多くの人が同じ場所で同時にネット接続を試みると、特定の基地局へのアクセスが集中し接続しにくくなる。そのため、携帯各社は接続数を想定し基地局を設けたり、接続を複数の基地局に分散させたりして通信を維持している。NDスタのケースでは通常時は問題なく通信できるが、1万人前後が来場する試合という特殊な状況下で、十分に対応しきれていないとみられる。各社とも移動基地局を持つが、準備時間や所有台数、設置基準に限りがあり、ゲーム主催者の要請ですぐに出動する運用ではないという。

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