国籍、世代を超え個性が融合 日仏2人のアーティストが臼杵市で初の共同作品展【大分県】

臼杵市で初の共同作品展を開催したヘイロード・フランソワさん(左)と造士貴之さん=臼杵市浜町の久家の大蔵
会場には彫刻や絵画など2人の作品計約80点が並んだ

 【臼杵】曼荼羅(まんだら)模様の作品などを手がけるアーティスト、ヘイロード・フランソワさん(32)=臼杵市臼杵=と、仏像をはじめとした木彫家、造士(ぞうし)貴之さん(74)=大分市城原=が9月下旬、臼杵市浜町の久家の大蔵で初めての共同作品展を開いた。芸術に対する思い、互いを敬う気持ちがつながり世代や国籍を超えた展示会が実現した。

 フランス出身のヘイロードさんは臼杵市を拠点に活動。日本の美術や音楽に興味を持ち2015年に来日し、21年、同市に移住した。西洋と日本の宗教観を融合させた作品を多く制作する。

 豊後大野市出身の造士さんは米国で40年間、仏像を彫り続けた。21年に帰国し、大分市のギャラリーを拠点に創作。近年は仏像だけでなく、人物像に月や植物をコラージュした造形的な作品にも取り組んでいる。

 2人は臼杵市内の寺で開かれる座禅教室で出会って意気投合。芸術家同士で作品の世界観に通じるところがあったことから、一緒に作品展を開くことにした。

 ヘイロードさんは日本の家紋から着想を得たデザイン画や曼荼羅模様の絵など約50点、造士さんは木彫りの仏像や鮮やかに色付けした表情豊かな人物像など約30点を出品。会場には市内外から2日間で約200人が来場し、奥深い作品世界に触れた。

 「米国での経験や創作について造士さんから学ぶことも多く刺激になった。これからも人と芸術をつなぐ場をつくっていきたい」とヘイロードさん。造士さんは「互いの持ち味や個性がうまく融合した展示会になった。作品を通じて世の中に『波紋』を起こし続けたい」と話した。

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