応募総数1万超、新聞週間標語 雲仙・吾妻中の田原さん(3年)佳作選出

新聞週間標語で佳作に選ばれた田原さん=雲仙市吾妻町

 日本新聞協会が募集した今年の新聞週間(10月15~21日)の標語で、長崎県雲仙市立吾妻中3年の田原大海さん(14)=吾妻町=の作品「知らないことが 時には罪だと 知った記事」が、代表標語に次ぐ佳作10編のうちの一つに選ばれた。応募総数は1万1249編。入選者11人の中では2番目に若く「びっくりしたけどうれしい」と喜んだ。
 受賞作は、ロシアによるウクライナ無差別攻撃や、障害者ら45人が被害に遭った相模原殺傷事件などを思い浮かべ「同じ地球に住んでいる身として、つらい立場にある人のことを知っておかないといけない」という気持ちを込めて作った。
 田原さんは多様な視点の大切さを訴える。昨年頃から「正義とは何だろう」と考えるようになったからだ。攻撃する側とされる側など複数の視点で描く「進撃の巨人」などの漫画や、音楽に触れたことが契機となった。特にシンガー・ソングライター、Vaundy(バウンディ)さんの「世界の秘密」の歌詞「実は僕らが悪者だったかもしれない なんて考えると 彼の気持ちが分かるかもしれない」が、心に響いている。
 俳句は、市立鶴田小4年の時に母親の提案で三つ年上の姉と一緒に「俳句ノート」をつくったことが始まり。3人でほぼ毎日作句したノートを読み返し「少ない字数で思いを伝える経験が受賞につながったかも」と振り返った。
 新聞は小学5年から読み始めた。新型コロナの流行で学校が長期休みになった時、記事をノートに貼って感想を書く自主学習をしたことがきっかけ。小説家を目指していたこともあり「書き方が工夫されているから」と、本紙1面コラム「水や空」を読む。郷土の俳句を紹介する「きょうの一句」も興味深い。
 ニュースにも関心がある。法人税減税について「金持ち優遇では」などと友人と話すことも。「出来事の原因やさまざまな人の立場を、知ってからと知る前とでは考え方が変わる。自分に何ができるか、考えられる人になりたい」と話した。

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