五島・久賀島漁業集落が最高賞 全国豊かな海づくり大会 磯焼け対策の発案で

高圧ポンプを使ってマフノリの胞子を散布する久賀島漁業集落の漁師=五島市久賀島(県五島水産業普及指導センター提供)

 磯焼け対策として高圧ポンプを使って胞子を散布し、海藻マフノリの収穫量を回復させた五島市の久賀島漁業集落(本村明代表、65人)が、9月に北海道であった第42回全国豊かな海づくり大会で最高位の大会会長賞(漁場・環境保全部門)を受賞した。長崎県内団体では2019年の崎山漁業集落(同市)以来3団体目。
 マフノリはサラダや刺し身のツマなどに利用する。県によると、久賀島は県内有数の産地。近年は磯焼けが進み、16年には収穫量が約70キロ(乾燥)まで激減した。そこで20年に、船体を洗う際などに使う高圧ポンプを活用した胞子の散布法を開発。21年は395キロ、22年は538キロと大幅に回復した。
 本村代表によると、マフノリは約60年前、久賀島で6トン取れていた。磯焼けで減ったため、18年から干潮時にじょうろで胞子を岩場にまいていたが、手作業のため限界があった。同集落の漁師の発案で高圧ポンプを使ったところ、広範囲に胞子をまくことができ、作業人数が半減。船から岩場に渡らなくてもよくなり安全性も向上した。

第42回全国豊かな海づくり大会で大会会長賞を受賞した久賀島漁業集落の本村代表

 同集落は05年9月に設立。昨年は「ながさき水産業大賞」の県知事賞を受けた。他にも海藻を食い荒らすウニの一種、ガンガゼ駆除にも取り組み、徐々に藻場が回復しているという。本村代表は「復活してうれしい。高圧ポンプの使用は、ワカメでも試してみたい」と展望を語った。

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