リサイクルアートで反核訴え 県展入選の池田さん

電線のごみから出るビニールのくずを用いて芸術作品を生み出す池田さん=長崎市岩見町

 県内最大の美術公募展、「第68回県展」で入選した長崎市岩見町の無職、池田政司さん(72)は、数年前から電線の周りのビニールくずを素材としたリサイクルアートにも取り組む。身近な環境を守ることから、地球全体の反核・平和につなげたいという思いからだ。
 入選作は「追憶(あの日、あの時…)」。縦91センチ、横140センチで、中央に浦上天主堂、左右に被爆した妻の母と壊れた町並みを描いている。
 池田さんは、両親が長崎で被爆したこともあり、幼少期から戦争や原爆への怒りがあった。熊本市の熊本商科大(現熊本学園大)に進学して木版画と出合い、そのとりこに。以来、木版画を中心として、水俣(みなまた)病などメッセージ性の強い作品を世に送り出してきた。
 1984年、長崎にUターン後、被爆2世として核廃絶を作品の支柱に据えて創作している。リサイクル会社に勤務していたこともあり、電線周りの被覆に着目。並べて貼り付ける手法で作品を作っている。池田さんは「いつも被爆者の絵や証言を元に惨状をイメージして描いている。核だけは何があっても使ってはならない」と話した。

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