「本当に感謝しているが、私はウクライナに戻りたい」 大津で避難者を囲む集い

母国料理を囲みながら談笑するウクライナからの避難民たち(31日午後、大津市雄琴1丁目)

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって1年半が過ぎた中、滋賀県内で暮らすウクライナからの避難者を囲む集いがこのほど、大津市内の旅館であった。参加した避難者は、母国の伝統料理ボルシチをふるまうなどして支援者と交流し、一日も早い軍事侵攻の終結を願った。

 主催したのは、日本に家族や知人がいないウクライナ避難民の受け入れを支援してきた大津市の臨床検査会社「近畿予防医学研究所」が設立した財団。財団からビザの取得支援などを受け、昨年末から今春にかけて20~50代のウクライナ人5人が来日した。

 5人は、同財団で働くウクライナ人理事のサポートを得て、日本語を学びながら同市内の医療機関や旅館で勤務している。この日は、同市内の呉服店が贈った浴衣を着て参加。就労先の企業や支援団体からも約30人が出席した。

 検査機関で働くヴァレリア・ミハイロヴァさん(55)は「日本に来たことに後悔はない。本当に感謝しているが、私はウクライナに戻りたい。支援ありがとう」と述べた。ヴァレリアさんの次男で大学生のヤキムさん(21)は「言葉を学ぶのが楽しい。ウクライナに帰り、日本語を教えたい」と、日本語であいさつした。

 同財団の広田周一代表理事は「軍事侵攻が終わるまでできるだけのことをする。少しの間だけでも平穏に暮らしてほしい」と話した。県によると、県内で暮らすウクライナからの避難者は19人という。

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