近江米新品種の袋デザイン「黒い丸が虫のよう」賛否両論、滋賀県は自信たっぷり

滋賀県庁

 滋賀県が13年をかけて開発した近江米の新品種「きらみずき」の米袋デザインが、このほど決定した。白地に黒い丸粒が並び、金色で大きく書かれた「米」の文字が隠されている。全国のブランド米が色鮮やかなデザインの米袋を採用する昨今、「白と黒のコントラストが消費者の目を引くはず」と県は自信たっぷりだが、果たして、狙い通りに消費者の心も胃袋もつかむことはできるのだろうか。

 きらみずきは、県が2009年から選抜を繰り返して生まれた品種。近江米の7割を占める早生(わせ)品種の後に収穫期を迎える中生(なかて)品種で、夏の高温に強く、倒れにくいという特徴がある。「キラキラしてみずみずしい米」をイメージした品種名は、公募と投票で近江八幡市の小学2年生(当時)の案に決まった。

 米袋のデザインは、県が公募型プロポーザル方式で選定。14事業者から提案があり、審査員は県職員が務めた。大粒で上質なうま味といったおいしさのイメージのほか、黒い丸が上にいくほど伸びて楕(だ)円になることで、米そのものや関わる人の成長に加え、化学肥料や殺虫・殺菌剤を使用しない環境に配慮した栽培方法が広がっていくとの願いが込められている。

 8月下旬に県のホームページで公表したところ、「面白い」「米売り場で映えそう」と評価する意見がある一方、「好きではない」との否定的な声も寄せられた。県庁内でも「黒い丸が虫のように見え、おいしそうだと思えない」「コンセプトがよく分からない」などのネガティブに捉える意見がある。

 県みらいの農業振興課によると、県が13年に供給を始めた独自開発米「みずかがみ」の真っ青な米袋デザインも、当初は「食品に青なんて」と批判の声があったという。「今ではむしろさわやかだと評価されている。きらみずきのデザインも、将来的に受け入れられていくのではないか。テレビCMや試食イベントでPRしていきたい」と話す。

 きらみずきは本年度、約300トンを試験栽培しており、新しい米袋に包まれた新米は、今秋から直売所や大型スーパーに並ぶ予定。本格的な流通は24年からとなる。

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