「不幸な猫を減らしたい」京都府でネットワーク発足 野良猫の不妊・去勢手術進める

捕獲器を設置してTNRに取り組む活動の様子。笠井さんは「不幸な猫を減らしたい」と語る(南丹市内)

 京都府南丹市で猫の愛護活動に取り組んできた複数の個人が任意団体「南丹ねこネットワーク(NNN)」を発足させた。志を同じくする仲間が結集し、野良猫を捕獲して不妊、去勢手術を施す「TNR活動」を推進する。同市によりよい愛護施策も意見していく。メンバーたちは「不幸な猫を減らしたい」と言葉に力を込める。

 NNNは同市園部町の愛護ボランティア笠井祐里さん(53)が代表を務め、「猫の日」に制定されている今年2月22日に立ち上げた。

 結成のきっかけは、同市が猫や犬に優しいまちを目指す「にゃんたん市プロジェクト」。笠井さんは、その内容に猫の生態を無視した施策があることに気付き、仲間とともに市に指摘、内容の修正につなげた。「一人では届かない意見も、集まれば聞いてもらえることがあると気付いた」と話す。

 メンバーは現在4人で、野良猫を捕まえて不妊、去勢手術を受けさせ、過剰に猫が増えないようにするTNRに力を入れる。捕獲は個々で行うが、組織化することで捕獲器などの融通がしやすくなるといい、野良猫に関する情報も共有し、迅速に対応する。TNRは住民からの依頼にも応じるが、多額の経費がかかるため、有料化も検討する。

 市への提言も随時行う。野良猫の不妊、去勢手術やワクチン接種などの経費を補助する全国的にも充実した同市の施策にも、NNNの意見が生きているという。野良猫の飼い主を募る譲渡会の開催も今後検討する。

 新たなメンバーを募っており、野村由紀さん(63)は「活動の輪を広げたい」と話す。笠井さんは「手術をしなければ、猫は一気に増える。TNRを進め、不幸な猫を減らしたい」と強調する。

 インスタグラム(kyotoinuneko)で活動を紹介している。現在、メンバーは多くの猫を自宅で保護しており、新たな猫の受け入れは難しいが、各種相談には乗る。問い合わせはインスタグラムまで。

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