金沢美大「明るく広い」 新キャンパスで講義開始

講義が始まった金沢美大の新キャンパス=2日午前10時55分、金沢市小立野2丁目

 金沢美大は2日、金沢市小立野5丁目から小立野2丁目の金大工学部跡地に移転した新キャンパスで講義を開始した。「地域に開かれた大学」を目指し、学生の作品を展示するスペースを多く設けたのが特徴で、移転記念の名品展(北國新聞社後援)も敷地内で始まった。学生からは「ガラス張りで明るい」「広くて作業しやすい」との声が聞かれ、真新しいキャンパスで美を探求する決意を新たにした。

 油絵専攻2年生の27人は2日午前、人物画を制作するための準備を進め、作業スペースに画材などを運び込んだ。山田美衣奈さん(20)は「ガラス張りで開放感がある。設備も整っているので自分がやりたいことができそう」と喜び、小野直也さん(22)は「まだ使い慣れないが、広くてきれいになってうれしい」と話した。

  ●記念展が開幕 所蔵の名品30点

 名品展は敷地内のアートギャラリーで開かれ、金沢美専(現在の金沢美大)で教壇に立った洋画の宮本三郎や高光一也の作品など同大が所蔵する絵画や彫刻、工芸の約30点が並んだ。2023ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭、国民文化祭(いしかわ百万石文化祭2023)の応援事業で、12月1日まで。

 山崎剛学長は「さまざまな人たちの理解があってここまできた。地域とともに盛り上げたい」と語った。

 新キャンパスは延べ床面積約3万7400平方メートルで、旧校舎の約1.3倍となった。工事費は約150億円で、学生の作品を展示して合評する「アートコモンズ」を設け、市民も自由に眺められるようにした。学生が専門領域の垣根を越えて創作に没頭できる環境も整えた。道路を挟んで向かい側に石川県立図書館がある。

新キャンパスへの移転を記念して開かれた名品展=金沢美大

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