欧州サッカーの移籍はマッチング?で決まる?『Football Manager』にも搭載される「TRANSFER ROOM」とは?

世界で一番リアリティのあるサッカーSLGとして20年以上の長きにわたり世界で愛されているゲーム、『Football Manager(FM)』。

11月7日に最新作となる『Football Manger 2024(FM 24)』では120以上のリーグ、2,300以上のクラブ、495,000以上の実在する選手とともにサッカーシュミレーションが楽しめるのだが、そのシステムは現実のワールドサッカーを模しているという。

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そこで『Football Manager』の開発メーカーであるSports Interactiveでスタジオディレクターを務めるマイルズ・ジェイコブソン氏に話を聞いた。

――Football Managerの中では『Transfer Room』をゲーム内に搭載するということが記載しておりました。このTransfer Roomとは欧州サッカーでどのような役割をしているのでしょうか?

海外のサッカーシーンではつい数年前までFAXと紙で契約が行われてきました。電子化されたのはつい先日のことなんです。あまりにも時代遅れですよね。

――たまにFAXを送った時間が数分遅かったとかで契約が破談になることがありますよね…。あれは見ているファン心理としてもつらいです。

その中で登場した『Transfer Room』は移籍市場を電子化したサービスです。

例えば、クラブが市場に「この選手いくらで出します」とかリリースを打てます。他のクラブはその選手たちに対してオファーをかけることができます。

もちろん、同じようなフィーで、何か他にこういった特徴を持った選手がいないかとか検索もできます。「移籍市場」がWeb上で行えるようになっているんですね。

他にも、日本とかでよくある婚活パーティーのような機能もあります。「男性と女性が対になってこの人はいいね」みたいな感覚です。選手とクラブが一度に並んでリアルタイムでクラブ側と選手側の希望も含めてマッチングいていく。条件があえば移籍成立です。

そういったことが現実には起きているんです。

――ゲーム内でも同じように移籍を行えるんですね。

はい。今までは移籍の際に交渉したらすぐに反応があってOKなら契約成立みたいな形でした。これは現実的ではありません。

そこに交渉ボタンを押してから数日間は結果がわからないような現実の移籍に即した形になります。ただ、Transfer Room側がインターフェースやデザインをリニューアルしたいそうで、そこが終わってからの実装になる予定です。

――欧州サッカーと『Football Manager』の関係性といえば、『Football Manager』のプレー経験がある選手や監督が多く存在します。例えば、伊東純也選手が所属するスタッド・ランスのウィリアム・スティル監督があげられます。

実際に監督や選手が『Football Manager』をプレーしていることは本当にこれ以上ない褒め言葉なんだなと思っています。

選手や監督以外にも裏方でもたくさんいて、アナリストになりました、関係者になりましたというニュースが飛び込んできています。皆さんの成功を本当に嬉しく思います。

実際に自分たちが集めてきたデータ、『サッカーシミュレーションゲーム』から本物の業界関係者が生まれるなんて素晴らしいことですよね。

――選手といえば、マンチェスター・シティのアーリング・ハーランド選手がドルトムントから移籍する際にチームメイトのプレーの特徴をFootball Managerで調べたという話があります。

それでいうと、ハーランドがドルトムントに移籍した際の逸話があります。

ドルトムントのファンは、「ハーランド一体どんな選手なんだ?」と思っているけれど、『Football Manager』のファンはすでにノルウェー時代のハーランド(が良く成長すること)を知っていて「ふんふん、あのハーランドね」と。

Jリーグが搭載されることでハーランドと同じような現象が100%起こると思います。

今までゲーム内にJリーグが入っていないことで、「何かすごい日本人がヨーロッパに移籍してきたけど、どっから来たんだろう?」とみんな知らない状態でした。

これからはJ2、J3にいるダイヤの原石のような選手がユーザーによって発見されて、ゲームのコミュニティで広がる。その結果、彼らがヨーロッパに移籍するという流れは絶対にあると思います。

――Jリーグのクラブで度々話題になるのが、「日本人が海外へ行く際の移籍金が低いのではないか?」問題です。反面、ヨーロッパの中小クラブが短期間で日本人選手をビッグクラブへ売却することで売却益を狙えるわけですが、Jリーグにもっと移籍金が入ってほしいという思いがあります。

はい。『Football Manager』のJリーグ搭載によって選手に注目が集まれば、今後のJリーグの将来的に考えても非常に良い効果を生み出すと思います。

でも、ヨーロッパの小さいクラブからするとちょっと安い金額で日本人の選手を獲得していたわけですから、「やめていただきたい」と言うかもしれませんね(笑)。

Jリーグへの注目度が上がっていけば、わざわざ欧米に行かなくても日本のJリーグに残り続けてプレーするという選択をとる選手もどんどん増えていくんじゃないかと考えています。

(後編に続く)

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