山代温泉「湯の華太鼓」復活 宴席で演奏、文化継承

湯の華太鼓の練習に励む会員=加賀市内の旅館

 加賀市山代温泉で芸妓(げいぎ)が旅館の宴席や祭りで演奏していた「湯の華太鼓」が2日までに復活した。地元の津軽三味線や民謡の愛好者でつくる「撥美音(ばちみね)ぼたん会」と同温泉観光協会が温泉文化を次代につなごうと企画し、住民ら約10人が練習に励んでいる。

 太鼓は、山代温泉に伝わる男女の説話「太鼓の胴(たいこんど)」を音で表現したもので、長胴太鼓や桶胴太鼓、三味線などで演奏される。浴衣や着物姿の女性が打ち手を務めることや「三ツ打ち」と呼ばれる独特なリズムが特徴となっている。

 往時は芸妓が旅館の宿泊客向けに盛んに披露したほか、毎年6月の菖蒲湯まつりを盛り上げたが、芸妓の減少とともに、15年ほど前に姿を消した。

 観光協会では地元に伝わる芸能の継承を目指し、撥美音ぼたん会と協力して今年4月から住民有志の参加を募った。練習は同温泉の旅館「みやびの宿 加賀百万石」で行われ、9月27日に同協会の関係者らに稽古の成果を披露した。

 10月15日から加賀市を訪れるエストニア・ハープサル市訪問団の歓迎交流会での演奏も予定され、今後はイベントへの出演も計画している。

 演奏に参加する荒川香織さん(39)=柏野町=は「とても華やかな太鼓なので、復活した姿を多くの人に見てほしい」と話した。

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