伊万里市の伊萬里神社の秋祭り「伊万里トンテントン」の実行委員会は2日、2基の神輿(みこし)を組み合う「合戦」に、今年の祭り(20~22日)から中学生以上の10代も参加できるようにすると発表した。2006年の合戦で高校生が死亡する事故が起きて以来、未成年が合戦に参加することを禁止していたが、実行委は「祭りの伝統文化を継承するには若い頃から体験してもらう必要があると判断した。安全には十分に気を付ける」としている。
06年の事故では、合戦に参加した男子高校生が神輿を組んで倒した際に下敷きになって亡くなり、当時の主催団体が翌年からの合戦を中止した。現在の実行委が祭りを引き継いで安全対策を講じ、11年に神輿を組んで倒さない「模擬合戦」を再開。13年には神輿を倒す合戦を、倒し方を事前に決める形で復活させたが、未成年の参加は認めていなかった。
実行委によると、22年10月に合戦安全規定にある「未成年は参加できない」とする文言を、実行委を構成する21人全員の同意で削除した。参加資格があるのは氏子地区と関係がある中学生以上で、中学生は模擬合戦まで、高校生相当以上は神輿を倒す合戦にも加われる。安全講習会と練習への参加が条件となり、今年は中学生7人が参加の意思を示している。方針変更に際し、事故遺族への報告は行っていないという。
神輿1基の重さは約550キロで約30人で担ぐ。香月孝夫実行委員長は「地域の少子化が進む中、若い担ぎ手を一人でも多く育てて確保することが祭りを後世に伝えるための課題になっている。若者の隣にはベテランを配置するなど十分な安全対策を取り、合戦に臨む」としている。(青木宏文)