スピード感新鮮「ベースボール5」って? 元プロも注目「野球の入門編に」 日本は世界ランク3位

「ベースボール5」をプレーする西宮スポーツセンターの指導員ら=西宮市今津真砂町、今津体育館

 59年ぶりの関西2球団によるセ、パ両リーグ制覇に沸く野球界。一方で競技人口の減少は待ったなしの課題だ。その中で、にわかに注目を集めているのが、野球を基にした都市型新競技「ベースボール5(B5)」。5人制で投手はおらず、打者が自らボールを手打ちするところからプレーが始まり、初心者でも楽しめるという。関西では知名度はまだまだだが、西宮スポーツセンター(兵庫県西宮市)で過去に体験会を実施したことがあると分かり、取材を申し込んだ。(谷川直生)

 そもそも、B5とは何か。一般財団法人全日本野球協会(東京都)によると、B5は、世界野球ソフトボール連盟が若年層をターゲットにした競技として2017年に考案した。公式ルールでは1チーム(5人)につき、男女がそれぞれ2人以上出場することが条件で、バットやグラブは必要なく、年代や性別を問わずにプレーできるという。

 基本ルールは野球と同じで、2チームが攻撃と守備を繰り返し得点を競う。投手と捕手はおらず、守備は5人の野手のみ。内野手4人に、二塁付近を守る中間野手(ミッドフィールダー)を加えた守備陣が並ぶ。

 打撃は手のひらか拳で。ホームランはなく、いかに野手のいない場所を狙うか、鋭い打球で守備を翻弄するかがポイントとなる。

 人気はヨーロッパやアジア、アフリカへも拡大し、22年にはワールドカップ(W杯)が初めて開かれた。今年8月現在、世界ランキングには45の国と地域が参加しており、日本は台湾、フランスに次ぐ3位だそうだ。 ### ■1試合わずか30分

 8月下旬、西宮市立今津体育館を訪ね、西宮スポーツセンターの協力でB5の体験取材が実現した。

 小中高と野球に取り組んできた記者(29)が、まず驚いたのが、ダイヤモンドの狭さ。塁間は野球の半分以下の13メートルで、バッターボックスに立てばその狭さは一目瞭然だった。

 「転がせばセーフになるのでは?」。頭の中でそう考えながら、野球ボールより一回り大きいゴムボールを左手でトスし、右の手のひらで強く打った。

 低く跳ねた打球は素手の野手にキャッチされ、ボールはそのまま一塁へ。全力疾走もむなしく、初打席はゴロアウトとなった。その間、わずか3秒ほど。スピード感が新鮮だった。

 次は守備。打者の視線から打球を飛ばす場所を予測しながら守った。グラブを装着しないため、右手で捕球し、そのまま送球することもできた。

 同センター指導員の説明を受けながら試合が進んだが、5イニング制の1試合にかかった時間はわずか30分足らず。短時間でできるのも魅力と感じた。 ### ■阪神コーチもプレー

 同センターでは昨年3月に体験会を開いた。きっかけは、阪神タイガースで今季から打撃コーチを務める水口栄二さん(54)が「おもしろそう。やってみよう」と同センターに提案したこと。水口さんが運営する同市内の野球教室と合同で企画した。

 「子どもも大人も盛り上がり、水口さんも『おもしろい』と楽しんでいた。野球を始める入り口に良いと思う」と振り返るのは、同センター指導員の鷲山裕大さん(24)。その上で「最近は元プロ野球選手やユーチューバーらに取り上げられる機会も増え、注目度が高まっている。今後も体験会の実施を考えたい」と話している。

© 株式会社神戸新聞社