フランク・ロイド・ライト設計の遺構発見 芦屋のヨドコウ迎賓館 敷地に温室や渡り廊下、滝の跡も

発掘調査で渡り廊下や温室の一部が発見されたヨドコウ迎賓館の敷地=芦屋市山手町

 兵庫県芦屋市山手町のヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)敷地内で市教育委員会が発掘調査した結果、温室や渡り廊下の一部などを発見し、3日、発掘現場を報道陣に公開した。調査を監修した足立裕司神戸大名誉教授(建築史)は、同館を設計した近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトが建物と自然との関係性を重視していたことを挙げ「改めて旧山邑家住宅がライトの建築であることを示す重要な発見だ」と指摘した。

 同館は酒造家山邑太左衛門の別邸としてライトが設計し、1924(大正13)年に完成。47(昭和22)年に淀川製鋼所(大阪市)が所有し、74(昭和49)年には主屋が国の重要文化財に指定された。

 発掘調査された主屋東側は、これまで社宅が建てられたり物置が置かれたりしていた。調査は今年5月に始まり、主屋から階段を約3メートル下りた場所で、渡り廊下の床面や温室の外壁の一部などが見つかった。

 足立名誉教授によると、同館の設計図は建築当時の雑誌に挿絵で掲載されたものしかないという。今回の調査で建物の位置や形、建築材料なども一部判明。設計図には記載がない滝の跡も発見された。

 今後は関係者で協議し、保存方法などを検討する。31日には1日限定で一般公開される。申し込み不要で参加無料。芦屋市教委生涯学習課TEL0797.38.2115 (村上貴浩)

© 株式会社神戸新聞社