立山信仰の歴史“冒険” E-バイク里山ツアー、富山市や立山町の隠れた史跡・絶景を巡る

立山山麓と奈良県宇陀市とを里山ツアーで結びつけようと動き始めた佐藤さん(左)と関根さん

 電動アシスト付きマウンテンバイク(E-BIKE)の体験型ツアーに取り組む「里山マウンテンバイクツーリズム実行委員会」代表の佐藤将貴さん(41)が、富山市粟巣野や立山駅を発着点に、立山山麓(さんろく)に息づく立山信仰の歴史を伝えるツアーに力を入れている。「隠された立山信仰を暴く」をテーマにしたツアーは、豊かな自然を全身で感じられ、冒険要素が満載だ。

 佐藤さんがツアーの活動拠点としていた立山町の大観峯自然公園周辺が、今夏の豪雨による土砂崩れや崩落で道路などが被災。積極的に人を呼び込めなくなった。「できることをやろう」と、あわすのスキー場で行ってきた特別ツアーをアレンジし、9月から実施している。

 コースには観光マップに載っていない史跡や絶景巡りも入れている。広く知られていない富山市本宮の歴史にスポットを当て、立山町芦峅寺に伝わる女人救済の儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」との関わりなどを解き明かす内容だ。

 ツアーは11月中旬までの予定。問い合わせや参加予約は同実行委員会のホームページから。

本紙記者が体験

 3日、取材を兼ねツアーを体験した。午前9時、あわすのスキー場に集合。E-BIKEにまたがり、佐藤さん、奈良県宇陀市で里山ツアーに取り組む地域おこし協力隊員、関根進太郞さん(45)と出発した。

 天気は晴れ。秋の爽やかな空気が気持ちいい。ゲレンデを駆け上がり、百間滑(ひゃっけんなめ)や巨大ブランコも楽しんだ。粟巣野から立山カルデラを経由して長野県に至る立山新道の歴史、与四兵衛山、ウシ石など富山市側の歴史スポットに立ち寄り、本宮の由来などを教わった。

 常願寺川を渡り、立山町芦峅寺に入る。正午過ぎに布橋で2人と別れ、スキー場に戻った。体験したのは全長17.5キロの半日コース。1日コースだと、立山博物館のほか、佐藤さんが「裏アルペンルート」と称する山間部なども巡る。

 記者は30代後半。運動不足気味だが、電動アシストのおかげで走り通せた。秋の立山山麓を満喫し、心地よい疲労感を味わった。

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