「もう一回、イチから」西村優菜はシード“当確”の夜に5時間ドライブ

キリッ(撮影/桂川洋一)

◇米国女子◇アセンダントLPGA benefiting ボランティア・オブ・アメリカ 事前情報(3日)◇オールドアメリカンGC (テキサス州)◇6475yd(パー71)

アーカンソー州で今季最高の3位に入った夜、西村優菜はすでに次の会場に向かう車の中にいた。テキサス州ダラスまでは約500km、5時間のロングドライブ。関係者の運転で深夜に今週のコース近郊エリアに入った。

ルーキーイヤーで来季のフルシードをほぼ手中に収めたとはいえ、シーズンはまだ続く。「もちろんうれしかったですし、(優勝できなかった)悔しさも変わらなかったんですけど、なんかここに来たら、もうあまり何も考えていないというか」

開幕2日前は18ホールを回った(撮影/桂川洋一)

確かに出場権の獲得は大きな目標のひとつだった。「序盤なんかは特に『取れるのかな…』ってちょっと不安だったり、『日本に戻った方がいいのかな…』って思った時もあった」と明かす。そんな胸のモヤモヤは、結局戦うことでしか解消できなかった。下位で予選通過した試合も、1打でも良くして終わろうと必死。2回のリシャッフル(出場優先順位の入れ替え)をなんとかクリアして、前週の好成績につなげた。

「あきらめずにやらなきゃ、前に進めない感じのところでやっていた分、先週はうまくできた。そういうメンタルがタフなところ(場面)は、今年はすごく経験したので、苦しい時間も長かったですけど、総合的に見れば良い時間だったのかなと思います」。“お祝い”はとりあえず、2日(月)にステーキを食べたくらい。思えば、2020年に日本で初優勝(樋口久子 三菱電機レディス)した夜もファミレスで済ませただけだった。

残り少ないシーズン終盤戦へ(撮影/桂川洋一)

次のターゲットは、初優勝はもちろん、年間ポイントレースの上位60人が出場可能な11月のシーズン最終戦「CMEグループ ツアー選手権」(フロリダ州ティブロンGC)への参戦。「またもう一回、イチから最終戦を目指してやっていく。目標をもう一回、設定し直さなきゃいけない」。61位に浮上させたランクをさらに上げたい。

“仕切り直し”の一戦のコースは、バミューダ芝がひろがる広大なつくり。上空を抜ける強い風もテキサスらしい。開幕2日前のコースチェックを終えて「(アーカンソーと)全然、雰囲気が違う。グリーンが小さいのに硬いから自分的には厳しい戦いになるかなと思う」と話した。「すごく難しく感じるけれど、良いプレーができるとまた違った自信にもなる。しっかり準備して頑張りたい」。つかんだ手応えを大きくして、アジアシリーズに向かいたい。(テキサス州ザ・コロニー/桂川洋一)

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