もっと長いか、と

 「2歳の誕生日には何を」-。どんな事柄にも人気投票やランキングは存在するもので、ネットのお薦めは「シンプルな遊び方で楽しめて、色や形も覚えられる」という積み木▲そんな積み木のようにどうぞ堅実な積み重ねを…と書いたら失礼が過ぎるだろうか。岸田文雄首相は就任からきょうで丸2年。「もっと長くやっているような気もしますね」と同僚。政権発足時はまだコロナで世の中が停滞していたせいか、とも考えたが▲別の理由もちゃんとある。2000年以降に就任した首相は、一度退陣して返り咲いた安倍晋三氏を2度数えると計11人だが、このうち政権が2年以上続いたのは2度目の安倍氏と“劇場政治”で高支持率を維持し続けた小泉純一郎氏だけ▲この2人を追うのが岸田氏で、要は、現実的に長続きしているのだ。「これからも先送りできない課題に一つ一つ正面から向き合って…」と昨日は官邸で新たな決意を語った▲別の記事では「敵基地攻撃能力」「防衛費の大幅増額」「福島第1原発の処理水海洋放出」などの足跡が紹介されている。ああ、首相はこんな課題に向き合ってきたのだったか、と復習しつつ▲そのくせ、皆が成果を待ち望む物価高対策はなかなか形になってくれない。“長さ感”の理由をもう一つ見つけた気がする。(智)

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