「梅毒」の患者数、岩手県内で増加 9月時点で年間最多に並ぶ

岩手県内の梅毒患者報告数の推移

 岩手県内で性感染症の「梅毒」の患者数が増えている。今年は9月24日時点で29人となり、既に年間患者数が過去最多だった昨年と同数に上っている。全国的に増加する中、県は各保健所で無料・匿名の検査を行っているほか、早期の医療機関の受診を呼びかけている。

 県感染症情報センターの集計によると、県内の今年の患者報告数は、第38週(9月18~24日)が2人で、累計29人となった。全数把握が始まった1999年以降で最多だった2022年(速報値)、18年の年間患者数と早くも並んだ。

 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が、人との粘膜接触などによって体内に侵入する感染症。感染後数週間で、侵入した部位にしこりや潰瘍などができることがあり、治療をしなくても症状はいったん軽くなる。数カ月で手のひらなどに赤い発疹が現れる。

 早期の薬物治療で完治が可能だが、放置すると脳や心臓に合併症を起こす。また、妊婦が感染すると流産や死産の危険性が高まり、赤ちゃんが先天性梅毒を患ったりする恐れもある。

© 株式会社岩手日報社