「野球することに対しては今まで通り全力で」 10年前、目頭を熱くしながらドラファンに誓った“侍ジャパン新監督”の井端弘和氏

野球日本代表「侍ジャパン」の新監督就任が決まった、元中日ドラゴンズの井端弘和氏(48)。

荒木雅博氏との“アライバコンビ”で、鉄壁の二遊間を成し、選手としてドラゴンズの黄金時代を支えましたが、2013年のオフ、16年在籍したドラゴンズを離れてジャイアンツに移籍しました。

その井端氏。2013年12月27日に、CBCテレビ「イッポウ」に生出演し、ドラゴンズのファンへの熱い思いを語っていました。

(CBCテレビ・大石邦彦アナウンサー)
ご紹介いたします。“ジャイアンツの”井端弘和選手です。いや、なんか今、僕も「ジャイアンツの…」って言いながら、ものすごく寂しいんですけれども…

(井端弘和氏)
僕も寂しいです、本当に。

(大石アナ)
多くの方からメッセージをたくさんいただいています。何通かご紹介しますね。「井端選手が打席に入る時の応援は独特なものでした」。

(井端氏)
そうですね、ファンの声援がなんとか自分がここまでこられた結果かなと思いますので、ファンの皆さんに育ててもらった16年間だったのがいいんじゃないかなと思いますね。
ドラゴンズの中で(あの声援は)自分だけだと思っていますんで。自分だけ違うっていうのはね、本当ありがたいなという気持ちで打席に立ってました。

(大石アナ)
ただぶっちゃけ、あれ初球は打ちにくいですよね。初球は終わってないですからね、あのコールが。

(井端氏)
そうですね、初球打ってね、凡打すると「あ~」っていうため息が聞こえてきた時もあったんですけど、それで意外と多く投げられることができたりとか、自分がうまく成長できたきっかけになったんじゃないかなと思いますけどね。

(大石アナ)
そのほかにもメッセージが寄せられています。
「長年阪神ファンでしたけれども、井端さんのおかげで中日ファンになって何年にもなります。井端選手の退団が発表された日、ショックで年甲斐もなく号泣してしまいました」。
こういう方が本当に多いんですけれども、なぜああなっちゃったんでしょう?

(井端氏)
そうですね…契約社会ですし、どの選手でもあり得ることだとは思うんで、それがたまたま自分だったんじゃないかなと思うだけで。野球がこれでね、終わるわけじゃないので。これからまた気持ちを入れ替えて頑張ろうかなと思います。

「もうやめようかな」 引退考えた時期も

(大石アナ)
ドラゴンズ一筋で16年やってきました。そういう井端さんだったからこそ、(退団は)ものすごくつらかったんじゃないですか?

(井端氏)
そうですね、最後までね、ドラゴンズで終わりたいなっていう気持ちでここ何年かやっていましたんで…正直、はい。「このままやめようかな」って思ったときもありましたけど。

(大石アナ)
引退も考えました?

(井端氏)
そうですね、「ドラゴンズをやめる」と言った日からは、「もうやめようかな」っていう方が強かったですね。

(大石アナ)
なぜやめなかった?

(井端氏)
リハビリもまだやってなかった状態ですし、リハビリがうまくいっている段階でね、いい話もいただいたので、もう一度ね、最後だと思って歯を食いしばってやろうかなと思いました。

(大石アナ)
それと、ご家族の支えもありましたよね。

(井端氏)
そうですね、12月に娘が生まれたので、もうひと踏ん張りっていう気持ちが強かったですね。

(大石アナ)
新たな命の誕生が、井端さんのハートに火をつけたんですかね?

(井端氏)
よく「物心つくまで」と言いますけど、下の子がね、物心つくまでにはもう3年も4年もかかるとは思うんすけど、何とかそこまではと思って今やってます。

(大石アナ)
そして、今度はジャイアンツのユニフォームを着たわけですけれども…これがね、似合っちゃうんですよね。でも宿敵のユニフォーム着るってどんな感じなんですか?

(井端氏)
いや、まさかのまさかですよ。退団してからもう1か月後にこういう結果になってるとは全く思わなかったですし、全く想像していなかったチームですから。

(大石アナ)
だけど似合っちゃうんですよ、ドラゴンズの次にね。一番似合うのはやっぱりドラゴンズですからね。

目頭を熱くする場面も「野球しか出来ないから、いいプレーを見せたい」

(大石アナ)
きょうはですね、サプライズで、実は井端さんがオフになると必ず訪問していた児童養護施設の皆さんからメッセージと千羽鶴もいただいているんです。皆さんが思いを込めて折ってくれたそうです。

(大石アナ)
メッセージも、たくさんいただきました。

「毎年児童ホームに来てくださり、ありがとうございました。サインを快く書いていただき、そのサインの宝のように保育園に飾っています。これまで子どもたちへのたくさんの支援、本当にありがとうございます。担当の子どもと駐車場でキャッチボールしてくださったことを今でも印象深く覚えています。これからも、子どもたちに夢や希望を与えてくれる存在になってください」。

そして、もう1通。

「井端選手、就職が決まりました。井端選手の頑張りは励みになりました」。
それだけ長い間、訪れていたということですよね。小学生だった方が、もう就職しているんです。

(目頭を熱くしながら、メッセージを聞く井端氏)

(井端氏)
そうですね、僕の知らない世界で、こういう人たちもいるんだなというのを目の当たりにして、本当に僕らは恵まれているんじゃないかなと思ったんで。野球しかできないので、いいプレーを見せたいなという気持ちでやってました。

(大石アナ)
これでね、一つ節目を迎えるわけですけれども、東海地方のファンの皆さんにメッセージをお願いします。

(井端氏)
本当に16年間、ファンの皆さんに支えていただいて、ここまでやってこれたと思っています。チームは変われども、野球をすることに対しては今まで通り全力で、ファンの皆さんにはいいプレーを見せたいなと思いますので、一個人としてこれからも応援してもらいたいなと思います。本当に長い間ありがとうございました。

10年前、現役選手として、ドラゴンズの時と変わらない”全力プレー”を誓って名古屋を後にした井端氏。

今度は監督として、全力で、侍ジャパンの“黄金時代”を築いてほしいものです!

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