「100年、200年残るように」今年度で閉校の小さな小学校で“劇的写真” 思い出と地域の魅力を1枚に=静岡市

躍動感あふれる写真。「劇的写真」と呼ばれるもので修正を極力加えず、漫画やアニメの一コマのような場面を再現します。この「劇的写真」が撮影されたのは、2023年度で閉校になる静岡市の山間部の小学校。思い出と地域の魅力を1枚に詰め込みました。

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<写真撮影の様子>
「ここまで大人のみなさんが準備してくれたので、長い時間ですけど2時間、みなさんと楽しみながら撮影ができたらと思っておりますので、よろしくお願いいたします」

9月11日、静岡市の山あいにある小さな小学校で一風変わった写真撮影が行われました。用意されたのは、25台の照明とたくさんの大道具。子どもたちはさまざまな衣装に身を包みます。

閉校になってしまう小学校の思い出を、まるでアニメの一コマのような「劇的写真」に収める準備が進んでいました。

撮影するのは、静岡市で写真家として活動する杉山雅彦さんです。

<写真家 杉山雅彦さん>
「ひとつの歴史の区切りでこのように呼んでいただけるのは光栄なことですし、その歴史、地域の特色だったり、そういったものを写真一枚で表現できたらいい」

静岡市の中山間地、オクシズ地域にある静岡市立清沢小学校。創立151年の歴史ある小学校ですが、現在の全校生徒はわずか18人。2024年度からは近隣の小学校と統合するため、閉校になります。

思い出と地域の魅力を一枚の写真に収めるために、子どもたちは今回の写真撮影に向けて3か月以上も前から撮影内容を考えてきました。

<児童>
「廃校になっちゃうのは、歴史をつぶしちゃうみたいでいやだなと思います」
「もっと、ほかの人にも清沢を知ってほしいので、ちゃんと知ってもらいながら終わってほしい」

そして迎えた撮影当日。清沢小には、約40人の地域の人たちも駆け付けました。子どもたちは地元の伝統芸能「清沢神楽」の衣装や名産品の清沢レモンを手に撮影に臨みます。

参加した60人全員の顔が、しっかりと見えるよう立ち位置の修正を繰り返しました。

<写真家 杉山雅彦さん>
「天狗がもうちょいこっちいけますか?もういっぱいですかね。じゃあ体をちょっとこっちに。いきましょう。1、2の3ハイ!」

途中、雨による中断などもあり、約2時間かけて20枚以上の写真を撮影しました。

<写真家 杉山雅彦さん>
「どうもありがとうございました。みなさんに協力していただいて、長い時間でも盛り上がってもらってよかった」

完成した写真は、まるでアニメの1コマのような躍動感あふれる1枚に。教室では写真を眺めながら思い出話に花が咲きました。

<参加した児童>
「楽しかったです。いい感じにみんなが写れたから、よかったなと思った」

<写真家 杉山雅彦さん>
「清沢小学校という151年の歴史があった学校があったんだというのを残したものとして、100年、200年残るような写真になったらいいなと思う」

今回撮影した写真は、現在製作中の閉校を記念した冊子に掲載する予定だそうです。

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