中国、水産物の禁輸や非難継続 情報統制も、不満爆発を警戒

サッカーACLの横浜M―山東戦で、中国人観客が掲げた日本の蔑称を書いた紙=3日、中国山東省済南(共同)

 中国は、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を受けた日本産水産物の禁輸を続け、放出を非難する立場も維持している。ただ当局は、対日批判が過熱し過ぎて大規模抗議行動を引き起こし、低迷する経済への国民の不満が爆発する事態に発展することを警戒、処理水問題に関する過剰な言動は国内で情報統制している。

 国営中央テレビは5日、2回目の放出を速報。国営通信新華社は英語で「地元漁業者や他国の懸念、反対が高まっているにもかかわらず」2回目を始めたと批判した。5日昼時点で、2回目開始の話題は短文投稿サイト微博(ウェイボ)の検索上位に入っていない。

 8月24日の1回目の放出開始後は、日本への迷惑電話が激増。ただ日中外交筋によると、中国当局は同月下旬から国内のインターネットで、反日を過剰にあおる言論への統制を始めたもようだ。

 同筋によると、中国が禁輸緩和に動く気配はない。香港政府環境生態局の謝展寰局長も4日、10都県の水産物の輸入禁止措置を継続する方針を表明。「短期的には(措置を)緩和する可能性はない」と語った。

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