「前市長に4千万円賠償請求を」住民の訴え棄却 9億円回収不能問題、大津地裁

大津地裁

 滋賀県栗東市がたばこ小売業者2社に貸した計約9億円が回収不能になった問題を巡って、市内の男性が市を相手に、野村昌弘前市長に4千万円を損害賠償請求するよう求めた住民訴訟の判決が5日、大津地裁であり、池田聡介裁判長は請求を棄却した。

 判決などによると、市は2000~03年に2社に計10億円を貸し付けたが、期限の10年を過ぎても担保金などを除く約9億円が返済されなかった。市は18年に2社や連帯保証人に破産手続き開始を申し立てたが、得られた破産配当金は関連支出を除けば約230万円にとどまった。

 男性は「前市長が、公正証書で定められた弁済期などに破産手続き開始の申し立てを行っていれば、4千万円以上を回収できた」などと主張していた。池田裁判長は「2社や連帯保証人が回収可能な財産を有していたと認定できず、申し立てをしていれば、現に回収した分を超える金額を回収できたとは認められない」と判断した。

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