道具作りを映像で保存 保存会、ユネスコの技後世に 縁付金箔、素材選びも伝授 

松村さんが制作工程の映像化を予定する道具=福久町

 金沢金箔伝統技術保存会は、伝統的な縁付金箔(えんつけきんぱく)の製造に欠かせない道具を制作する工程を映像保存する。職人が高齢化し、将来的に道具作りの担い手不足が懸念されるためで、竹など適した材料の選び方や細かな作業を記録に残す。市の委託を受け、年内に撮影予定で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に選ばれた縁付金箔を後世に継承する。

 保存会長の松村謙一さん(63)=福久町=が映像化を予定しているのは、箔を挟んで移すのに使う「箔箸(はくはし)」、箔を四角形に裁つための「枠竹」、裁断で下に敷く「革盤」の制作工程だ。

 箔箸作りは、薄さ約1万分の1ミリの金箔を扱うのに適した素材を見つけるのが難しいとされる。松村さんは加賀竿職人の中村滋さん(額谷1丁目)の協力で確保した「高野竹」を使っており、竹の選び方も伝授する。

 松村さんによると、さらに困難なのが竹を不規則な繊維に沿ってカッターナイフで二つに割る作業で、「5本あっても2、3本しかきれいにできない」という。割れた竹を電熱器で熱しながら広げ、先端を合わせるのも大変で、繊細な職人技を映像で分かりやすく伝える。

 市によると、国の選定保存技術である縁付金箔の職人は約20人で、平均年齢は70歳以上となっている。市は2021年度から縁付金箔製造の後継者育成プログラムを開始し、現在は研修生4人が各職人の工房で技術の習得に励んでいるが、道具づくりの担い手は育っていない、松村さんによると、現在、箔箸を作れる人は2、3人程度という。

 松村さんは「縁付金箔の技術を守るため、細かい動作の一つ一つを映像に残して伝えたい」と話した。

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